最近気分が落ち込む…季節性うつ病は【日向ぼっこ】で予防しよう|医師監修

 最近気分が落ち込む…季節性うつ病は【日向ぼっこ】で予防しよう|医師監修
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半田葉子
半田葉子
2022-12-12

寒い季節になると毎年センチメンタルな気持ちになる、気分がのらない、色々なことが億劫になるなど思い当たる節はありませんか。それはもしかしたら日照不足(セロトニン不足)からくる季節性うつ病かもしれません。セロトニンは9割近くが腸で作られるとも言われています。今回はそんな季節性うつ病について解説。また、マクロビオティックや東洋医学の考え方である「陰陽五行説」と「秋冬」の関係についてもご紹介します。

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季節性うつ病とは

季節性感情障害(SAD)ウィンターブルーとも言われ、秋から冬にかけて鬱症状が表れ、春から夏にかけて症状が治まるというサイクルを繰り返す感情障害です。日照時間に深く関係しており、日本では日照時間が短くなる秋冬に表れる精神疾患で、症状は春先まで続きます。

どんな症状?

春夏には感じなかった症状で思い当たる節はありませんか。

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・食欲が増えてきた
・体重が増えてきた
・寝ても寝ても眠い
・気分が落ち込みがちになってきた
・やる気が出なくなってきた
・何かをしても楽しくない
・何をしても疲れが取れない
・イライラや不満が増えた
・パニック障害や持病の精神疾患が悪化しているように感じる
・月経前症候群(PMS)や更年期障害などのホルモンバランスが不安定になった

一般的な鬱病は食欲の低下や不眠、体重減少傾向があるのに対し、季節性うつ病は、食欲増加や過眠、体重増加がみられるのが特徴のひとつです。

原因

これらのような症状の原因のひとつに「日照不足」があげられます。私たちの身体は、太陽の光を浴びると「セロトニン」と呼ばれる幸せホルモンが分泌します。このセロトニンが少ないと、季節性うつ病のような症状が起こりやすくなります。

セロトニンは私たちの心(感情)と身体を安定させ、日常を心地よく送れるために大切な神経伝達物質。日照時間の少ない国(緯度の高い北欧地域)では、この感情障害が大きな問題となっており、経済的影響も大きく、国をあげて日照不足からくる問題に取り組んでいます。

セロトニンの役割

太陽の光を浴びてセロトニンが増えると私たちの心身はどうなるのでしょうか。

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・自己肯定感が高まる
・気分の浮き沈みが減り、穏やかになる
・自律神経のバランスが安定する
・心と身体に癒しや安らぎをもたらす
・ドーパミン(注1)やノルアドレナリン(注2)を調整する
注1)やる気、快感などの感情をもたらす神経伝達物質
注2)ストレスを感じると抵抗しようとする神経伝達物質

セロトニンの増やし方

①太陽の光を浴びる

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セロトニンを増やすのに必要な光の強さは約2,500-3,000ルクス。一般的な蛍光灯は500-1,000ルクスと足りないですが、窓越しの太陽の光でも3,000ルクスほどあり、屋外の太陽光では50,000-100,000ルクス、曇りの日でも10,000ルクス程度を浴びることができます。

セロトニンを増やすには午前中に15~30分程度の日光浴が推奨されています。
「セロトニン」は夜になると「メラトニン」と言う快眠をもたらす睡眠ホルモンに変化します。「メラトニン」は光を浴びて約15時間前後で最も増加し、深部体温が下がりはじめ、深い睡眠に入るための準備を始めます。体内時計を整え、良い睡眠を得るためにも、午前中に太陽の光を浴びることを意識してみましょう。

②ビタミンDを摂る

ビタミンDは食べ物からも摂取できますが、セロトニン同様太陽の光(紫外線)を浴びることでも生成される物質で、「日光ホルモン」などとも言われています。

ビタミンDにはセロトニンを調節する働きもあり、日照時間の短い欧米でもビタミンDのサプリメントなどが多く販売されています。また、ビタミンDは日光浴によって一日に必要な量の半分以上を補うことができるとも言われています。

③腸内環境を整える

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セロトニンの分泌は脳ですが、そのセロトニンが作られるのは約9割が腸と言われています。ビタミンDには傷んだ腸粘膜の結合状態を改善し、腸内の免疫抗体の産生を促し、腸壁を整えるための働きがあります。腸内環境を整えることで、効率よくセロトニンを生成することができるようになり、脳と腸がお互い影響を及ぼし合う「脳腸相関」も改善されていくことでしょう。

マクロビオティックや東洋医学に見る「秋冬」

マクロビオティックや東洋医学では「陰陽五行説」と言われる考え方があります。春や夏を陰性、秋や冬は陽性とし、陰性のエネルギーは上昇・拡散で上へ外へと、陽性のエネルギーは下降・収縮で下へ内へと流れます。秋冬は、地球の中心に「地に足が着く」落ち着いたエネルギーの時期。エネルギーも内側に溜まりやすく、日照不足時と同じような症状が表れやすい時期でもあります。

また、腎臓膀胱に症状が出やすい時期とも言われ、季節性うつ病の症状は腎臓や膀胱が弱まっている時の症状にも似ていたりもします。陰陽五行説は、秋冬を快適に過ごすヒントがたくさん詰まっていますので、日照不足以外でも対策としてぜひ参考にしてみてください。

監修医師/佐藤瑠美先生
内科医として朝倉医師会病院に勤務。医学博士、内科認定医、総合内科専門医、感染症専門医、感染症指導医、呼吸器専門医、呼吸器指導医、アレルギー専門医、化学療法認定医、化学療法指導医、抗酸菌症認定医、抗酸菌症指導医、インフェクションコントロールドクター、肺がんCT検診認定医

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半田葉子

半田葉子

バウエル腸セラピスト/vegan菓子 [ 素果子|sugashi ] 店主 幼い頃から環境問題に興味を持つ。20代に心身のバランスを崩したことをきっかけに「からだに入れる選択」「免疫力」「心と身体のバランス」「出す力」の大切さに気づき、自然生活に活かせる食や腸を学びはじめる。会社員、自身のカフェでの菜食調理、地方veganカフェの立ち上げやメニュー提供、海外のオーガニック事情調査、腸講師などを経て、「からだ想いのお菓子を」とオンラインストア [ 素果子|sugashi ] を始動。お菓子作りを続ける傍ら、 長年のマクロビオティック生活と自身の経験や知識を活かし、個人の体質改善カウンセリング・腸マッサージの施術を行っている。InstagramID:kurashinotane_



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