高機能オーガニックケアに、父親としての想いを込めた「エルバビーバ 」
美しくなることは、地球に優しいこと——これからの時代に必要なのはそんなポリシーだ。日々目まぐるしく変化する環境や世界情勢の中で、ビューティーに対するこれまでの価値観が大きく揺さぶられている現在。独自の美を創造することにいち早く乗り出した先駆者たちに聞く、ビューティービジネスと環境への取り組みとは。
クリーン、オーガニック、サステナブル等々、美容業界に新たなジャンルを開拓する傍ら、数多のインディペンデントビューティブランドを世に送り出している美容大国アメリカ。そんな世界のビューティシーンをリードするアメリカ・カリフォルニアで、1996年のデビュー以来オーガニックなライフスタイルを提唱し、地球と人の美と健康のための製品で世界を魅了してきたブランドが「エルバビーバ」だ。
「自分の子供たちのために、心から信頼できるオーガニックでパーソナルな製品を作りたい」とのCEOのロビン・ブラウン氏の父親としての想いが詰まった「エルバビーバ」は、当初妊婦とベビー向けのコレクションからスタート。USDAオーガニック認証、B-corp認証等、同社の社会的・倫理的に責任に関わる多くの認証/指定を取得し、高い製品力で一躍トップオーガニックブランドとしての地位を確立した。そこで今回は、ロビン・ブラウン氏に自身のブランドへの想いと同社の取り組みについてお話を伺った。
単なる「ナチュラル」を超えて、よりクリーンで安全な製品を作る
——昨今の消費者の環境保護意識の高まりも相まって、日本でも多くのファンを獲得しているエルバビーバですが、まずはブランド設立の経緯と哲学について教えてください。
現在「エルバビーバ」はオーガニックパーソナルケアの創始ブランドの一つと認識されていますが、創業した1996年当時は、まだオーガニックのベビーコレクションを展開しているブランドは市場にありませんでした。そのため、私たちは常に妊娠中の母親や赤ちゃんの成長過程にも使用できて、その上単なる「ナチュラル」を超えたよりクリーンで安全な製品の必要性を感じていたのです。
同時に、特に赤ちゃんのデリケートな肌にオーガニックがもたらすメリットに対する世の中の認識がなかった時でもありましたので、その素晴らしさについてもっと啓蒙する必要性も感じていたのです。そんな理由から、「エルバビーバ」の創業に至りました。
——オーガニックに対する認識が低かったブランドデビュー当時と現在では、市場はどのように変化したと思われますか?
先もお話ししましたが、ブランド創業当時は世間のオーガニックケアに対するメリットについての認識も浅く、オーガニック食品という概念すら珍しいものでした。ましてやオーガニック衣類やスキンケアのメリットに至ってはまだまだ、といった感じでした。
ですが時を経るにつれ、「オーガニック」は「ナチュラル」よりも効果が高く、スキンケア業界で頻繁に採用されている化学物質を含まず、より安全なものであると認識されるようになりました。特にUSDA(アメリカ農務省)は、使用される原材料は全てにおいて“食品レベルでなくてはならない”という非常に厳しい基準を設けています。ですから、使用可能/不可能な成分の線引きが明確で、非常に限定されています。その安全性の高さに市場が敏感に反応したことも、オーガニックケアが急速に世界に広まった理由のひとつだと考えています。
——ブランドが環境に配慮している点は何でしょうか?またなぜそのメソッドを選んだのかという理由もお聞かせください。
今から25年前は、消費者の意識は“常に自分によって良いもの”という点に重きがおかれていたように思います。ですが現在では、環境汚染や健康への懸念を軽減し、気候変動を抑えるなど、製品を選ぶ時に“地球を保全のために私達ができること”に意識がシフトしています。と同時に、オーガニックの世界でも再生農法やバイオダイナミック農法など、より持続可能性の高い農法が注目を集めています。
「エルバビーバ」は、バイオダイナミック農法の認定を受けたいち企業であり、その点に大きな誇りを持っています。理由は、バイオダイナミック農法こそ気候変動対策として最善の方法の一つであると強く感じているからです。また、バイオダイナミック農法による原材料には、他の有機農法に比べ、原料により多くの栄養素が含まれていることも科学的に証明されています。このような理由から、ブランドとしてバイオダイナミック農法による原料のサプライチェーンがさらに発展し、ひいては原料をより多く使用できるよう強くサポートしています。
——化粧品を開発する上で、もしくはコンセプトを立ち上げる時点で何か困難なことはありましたか?またそれをどう克服しましたか?
ブランドデビュー当初、オーガニック農園からの原材料の調達は非常に困難なものでした。そして現在は、ご存知のようにCOVID-19の影響で世界的にサプライチェーンが煽りを受け、全てのプロセスが非常に困難になっています。オーガニック原料も例外なく、包装資材と同様大きな影響を受けています。
ですが、私たちは世界中のたくさんの素晴らしいサプライヤーとの揺るぎないパートナーシップを構築してきました。現在も変わらず順当に原料を調達できているのは、彼らとの良好な関係があるからに他なりません。もちろん、収穫年によっては、原料が不足することもよくありますが、それでも幸運なことにずっとウィンウィンの関係を築いています。
——化粧品のブラントとしては御社が初、あるいは他では絶対に見られないであろうユニークな社会的取り組みはありますか?
私たちは、アメリカの著名慈善活動家のマギー・ドイン主催の団体「Blinknow.org」(https://blinknow.org)の活動を長年サポートしています。私の友人でもある彼女は、長いことネパールで児童養護施設や診療所、女性センターや農場等々現地に様々な施設を設立するなど、地元の人たちのために尽力しています。実は、私は彼女を通じて2004年にネパールから女の子を養子に迎えました。そんな個人的な縁もあるので、これまで同様これからも彼女の活動をサポートして行くつもりです。
スポーツやヨガを実践するオールジェンダーにおすすめ
「ママ/ベビー/パーソナルと、ブランドが展開する3つのラインの中の“パーソナル”ラインから登場する精油を100%ブレンドした植物由来のオーガニックボディスプレーです」(「エルバビーバ」日本PR担当の御殿谷さん)。2022年8月24日に新たに加わったばかりの新作は、ジェンダーレス&オールエイジに対応。ラベンダーとゼラニウムの香りが、スポーツ後やヨガ後の心と体をリフレッシュしてくれる。
「植物由来のアルコールを採用したハンドスプレーです。片手で握ることができる大きさだから、ポーチにインしてどこでもお使いいただけます」(御殿谷さん)。アルコール含有量70%、ラベンダーとユーカリの心地よい香りも魅力のアイテムは、まだまだ消毒が欠かせない日常の必須アイテムでもある。
AUTHOR
横山正美
ビューティエディター/ライター/翻訳。「流行通信」の美容編集を経てフリーに。外資系化粧品会社の翻訳を手がける傍ら、「VOGUE JAPAN」等でビューティー記事や海外セレブリティの社会問題への取り組みに関するインタビュー記事等を執筆中。
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