慢性ストレスが健康に及ぼす被害|ストレスを緩和するのに効果的な6つの方法とは
慢性ストレスの代償
イソップ寓話で最後には村人たちがオオカミ少年の言葉を無視し始めたように、視床下部も絶えずストレスがあると次第に副腎からの反応に鈍感になり、必然的にコルチゾール値も不安定になる。「するとコルチゾールが本来のサイクルのタイミングで分泌されにくくなり、その結果、適切でない時間にコルチゾール値が高くなったり低くなったりするのです」と、カラニックは言う。たとえば、夜にコルチゾール値が急上昇してしまい(本来は低くなる)、疲れてベッドに入っても目がさえてしまう人もいるだろう。または朝方にコルチゾール値が一気に下がり(本来は高くなる)、ベッドからなかなか起き上がれない人もいる。このようにコルチゾールが乱高下するようになると、最初に睡眠障害や活力低下の症状が現れる。だが回復睡眠の不足による頭痛、イライラ感や、ブレインフォグと呼ばれる認知障害などの危険信号もある。また「女性の多くに月経不順がみられます」と言うのは、西洋医学の産婦人科医として訓練を受けたのちに、機能性医療の道に進んだトゥルボウ博士だ。常にストレス状態にある脳は至る所に危険があると察知して過剰にコルチゾールを分泌するために卵巣機能が低下するのだ。「生存本能は生殖本能より強いのです。だから身体は逃走するために卵巣ではなく脚にエネルギーを送ろうとするのです」とトゥルボウは言う。消化器障害もよくある症状だが、過剰なコルチゾール分泌により胃酸の分泌が減ることが原因だ。「食べ物をしっかり消化できないため腹部にガスがたまったり、膨満感や下痢が起こるのです」とトゥルボウは説明する。コルチゾール値が高い状態が長期に及べば栄養欠乏症に至ることもある。また、過食症になる可能性も高い。塩分を欲するのもよくみられる症状で、これは副腎がアルドステロンという身体の塩分バランス(結果として血圧も)を維持するホルモンを生成するためだ。メイヨークリニックによると、副腎ホルモンの過剰分泌によって塩分バランスが崩れると、塩分をやたらと欲するようになったり、低血圧も引き起こす。また、過剰なコルチゾール分泌は体幹部の脂肪蓄積も引き起こします、とトゥルボウは言う。コルチゾール分泌の増加により血糖値が上昇し、最終的には脂肪として腹部に蓄えられるためだ。これまで述べた症状は一般的に副腎疲労が原因とされるが、専門家たちは正確には視床下部―下垂体—副腎軸の異常(HPA-D)である、と唱えている。「脳から副腎へとつながるHPA軸については、よく知られて広く研究がなされています」とアクリルは言う。HPA軸によって制御されていたストレスホルモンが過剰に分泌されると、エネルギー生成や睡眠、性ホルモンの生成、免疫システムの修復に至るまで、体中すべてのシステムが狂うことが数十年の調査により立証されている。HPA-D、副腎疲労、燃え尽き症候群、慢性ストレス……どのように呼ぼうとも、ひとつだけ確かなのは、神経系が神経質になりすぎた状態にあるという点だ。セルフケア(自己療法)は重要です、とアクリルは言う。「社会には、優れたセルフケアなんて利己的だと思わせる風潮があります。だから私たちは体のエンジン警告灯が点灯してもそれを無視し、体よりもヨガの道具を大事にしてしまうのです」今回紹介する練習はどれも治療プロセスにはずみをつけてくれるだろう。そして活力を蘇らせてくれるはずだ。ただし、一度にすべてをやらないようにしよう。「ストレスを感じるような辛い練習は必要ありません」とカラニックは言う。
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