ポジティビティがメンタルを蝕む?心理カウンセラーが懸念する「偽りの自己肯定感」とは

 ポジティビティがメンタルを蝕む?心理カウンセラーが懸念する「偽りの自己肯定感」とは
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もちろん、一時的に昔を思い出して嘆き悲しむことは人間にとって必要ですので、やめる必要はありません。そんなときは、感情に浸るだけ浸ってしまったって良いのです。

対処法としては、過去に無理矢理アプローチするのではなく、「今日をどうやって楽しく生きるか」ということに目を向けることがポイントとなります。

過去の出来事やネガティブな感情に囚われてしまっている方は、大抵が今日をどう楽しく生きるか考えることを完全に忘れてしまっています。この傾向は、トラウマなどを抱えていない、いわゆる成功者のような人にもよくあることです。お金も名誉もあって、なに不自由ない生活を送っている。しかし、今日を楽しく生きることに意識が向けられていないことにより、成功者であってもうつ状態になってしまう方も少なくありません。

――今日を楽しく生きるために、読者の方がすぐにでも始められる簡単な方法があれば教えてください。

山根先生:新型コロナウイルスの影響で経済的に苦しい状況にある、やりたいことができない、行きたいところにいけない……そんな方も多いでしょう。積極的に外出したり、大勢で集まったりする機会が得られない現在だからこそ、試してほしいことがあります。

それは、沈む夕陽を眺めたり、道端に咲いている花に目を向けたり、風の匂いを感じること。あまりにも当たり前すぎるので、特別騒がれることもない地味な方法ではありますが、心理療法の面でも効果があるとされています。お金や特別な道具がなくても誰でも実践することができ、なおかつ手軽で効果的な方法です。ぜひ試してみてください。

最近ブームになっているソロキャンプなんかは、その代表的な例ではないでしょうか。

豪勢な食事や大型イベントでなくとも、ひとり自然に身を置き、鳥や川の音に耳をすませる。森や山の匂いを感じ、ひっそり咲く野花に心を奪われることを味わう。

今日を楽しんで生きることの大切さに気づいている人は、すでにこういった形で実践しているケースが増えてきています。自己肯定感を考えるうえでも、とても良い傾向といえるでしょう。

●お話を伺ったのは…山根洋士さん

山根
山根洋士さん

これまで、8,000人以上の悩みを解決してきた心理カウンセラー。自身も両親の離婚、就職の失敗など人生の挫折を経験し、激務で身体を壊して入院生活を送るなか「なんのために生きるのか」を模索した結果、心の風邪薬のようなカウンセリングを提供したいという想いから、カウンセラーとなる。著書に『「自己肯定感低めの人」のための本』(アスコム)があるほか、YouTubetwitterでも発信。

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ヨガジャーナルオンライン編集部

ヨガジャーナルオンライン編集部

ストレスフルな現代人に「ヨガ的な解決」を提案するライフスタイル&ニュースメディア。"心地よい"自己や他者、社会とつながることをヨガの本質と捉え、自分らしさを見つけるための心身メンテナンスなどウェルビーイングを実現するための情報を発信。



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