ポジティビティがメンタルを蝕む?心理カウンセラーが懸念する「偽りの自己肯定感」とは

 ポジティビティがメンタルを蝕む?心理カウンセラーが懸念する「偽りの自己肯定感」とは
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――山根先生が考える「ありのままの姿」についても、詳しくお聞かせください。

山根先生:先ほどのポジティビティの強要のほかにも、承認欲求について論争をみかけることがあります。「あの人って承認欲求が強いよね」といった感じで、SNSで承認欲求を満たしている人を悪とするような風潮にも、少し疑問を感じます。

そもそも、承認欲求がない人間なんていません。もちろん過度な欲求はよくないかもしれませんが、本来はあって当たり前のものなのです。

「依存性」に関しても同じで、人間は必ずなにかに依存して生きています。毎日新聞をチェックしている、毎日電車に乗っている、毎日〇〇を食べている……これらも依存の一つですから。これら欲求や依存は、ポジティブ・ネガティブと同じで“誰にでもあるもの”であり、“人間が生きるうえで必要なもの”ということを、もっと知ってほしいと思います。

2015年にディズニー作品『アナと雪の女王』の「ありのままで」というフレーズがブームになりましたね。ですがこれも、「ありのままでいい」という表面上の意味だけがブームになり、やはり「ダメな自分もそれでいい」という本質は、まだ浸透しきっていないように個人的には感じています。

変えられない過去やトラウマは、上手く付き合う方法を知ればいい

――本来の自己肯定感の意味や定義を知っていても、幼少期の環境や過去のトラウマなど、自分では変えられないものによって自己肯定感が低くなっている方もいるかと思います。そういった場合、どのような考え方や対処法がありますか?

山根先生:当たり前のことですが、過去に起こったことを消すことはできません。少し突き放したように聞こえてしまうかもしれませんが、良くも悪くも諦めるしかない。

ただし、過去との付き合い方で気をつけてほしいのは、「なかったことにはしない」という点です。無理に過去の感情やトラウマを押さえ込もうとすると、いつか何かしらの形で爆発し、ときには精神疾患といった形で弊害として現れかねません。

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ヨガジャーナルオンライン編集部

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ストレスフルな現代人に「ヨガ的な解決」を提案するライフスタイル&ニュースメディア。"心地よい"自己や他者、社会とつながることをヨガの本質と捉え、自分らしさを見つけるための心身メンテナンスなどウェルビーイングを実現するための情報を発信。



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