人気インスタアカウント「Siha the Wise」作者に聞く「本当の幸せ」の見つけ方
多くの人が「幸せになりたい」と思っているはず。けれど「幸せって何?」と聞かれてしっかり答えられる人がどれだけいるでしょうか。今回は人気のインスタアカウントSiha the Wiseの作者に、幸せの見つけ方について伺いました。
—— 簡単に自己紹介をお願いします。
こんにちは。私は「Siha the Wise」というコミックを描いています。コミックを描き始めたのは、絵を描くことがが好きで以前アニメーションの勉強をしていたからです。コミックの主人公は、私の愛猫Sihaがモデルになっています。
—— どんな活動をしていますか?
InstagramとFacebookで連載しているSiha the Wiseは、捨て猫Sihaという賢い猫を中心に物語が進みます。Sihaが迷える近所の猫たちに”優しさ”、”知恵”、”幸せ”についての教えを説いていきます。これらの教えの基本は、すべてダンマ(サンスクリット語ではDharma:ダルマ)に即したものです。
—— ダンマとは?
パーリ語で「ダンマ」、サンスクリット語で「ダルマ」という言葉は、ヒンズー教、仏教、ジャイナ教、ヨガ、インドの教えでは少し違った意味を持っています。Siha the Wiseでは、宇宙の法・秩序、究極の真理、また仏陀の教えを意味する仏教の教えである「ダンマ」に従った教えを説いています。
—— 活動をはじめたきっかけは?
コロナウイルスのパンデミックになる約1年前の2019年初めごろSNSでコミックの投稿を始めました。その頃から、世の中が混沌としていて、人々が互いに傷つけ合い多くの人が落ち込んでいると感じていたので…
私自身が仏教を学ぶことで安らぎを得ることができたので、Siha the Wiseを通して誰かの役に立ちたいという思いがありました。また、仏教で説かれていることを本当に知らない、また誤解している人が多いとも感じています。
世界がより安全でより良い場所になることを願い、人々にインスピレーションを与えたいと思っています。
”本当の幸せ”の見つけ方
——「Siha the Wise」の中で、”幸せ”についてよく説かれていますよね。
私にとっての幸せとは、”平和で穏やかであること”。また、”完全で満たされた感覚を持つこと”です。
幸せは、私たちが人生で行うすべてのことに意味を与えてくれます。心の奥底で深く考えてみると誰もが人生の幸福と平和を求めているのですが、それをどこで見つけるかを知っている人は多くないのだと思います。
—— 私たちはどのようにして幸せを見つけることができるのでしょうか。
多くの人は幸せを外界から見つけようとします。例えば、宝くじに当たること、昇進すること、結婚することなど...。
けれど、本当の幸せは、自分自身の内側にあります。科学でもすでに瞑想する人がより幸福であることをこのことを示しています。
幸せは外界から得られるものではなく、瞑想など精神修養によって自分自身の内側にのみ見出されるものなのです。
不透明な世の中を幸せに生きるために
—— 外側からの情報に左右されやすい時代…そんな現代に、本当の幸せに気づくために今わたしたちがすべきなことは?
世の中は不確実性に満ちており、この世のすべては無常で不安定なものです。
見えない未来を心配するよりも、私たちは自分の人生をどう生きるかに集中すべきです。前にも言った通り、私たちに幸せをもたらすのは瞑想などの精神修養です。
外界に幸せを求めると、私たちは常に満足できないでしょう。私たちの幸せがこの無常な世界に依存している場合、私たちは常に失望することになります。ですから、私たちは内なる精神修養に幸せを見出すことが大切です。
——本質的な幸せに気付けるとこれから先どんなことがあっても強く生きていけそうですね。
内なる精神修養によって真の幸せに気づくことができれば、より良い未来をもたらすします。これはレジリエンス(回復力)を高めることにもなります。なぜなら、私たちの幸せの源は外からではなく内側にあることを知っているから。私たちは内面からエネルギーを得ているので、外界のどんなものによっても壊されるこもなくなります。
海の中で水漏れしている船のように次の嵐を心配するのではなく、船を修理することに集中すべきなのです。強く安定した船があれば、この悲しみの海のどんな荒波も乗り越えることができますよね。
—— 私たちを幸せに導く習慣はあるのでしょうか?
もちろんあります。前述した通り、精神的な修養が真の幸福への道です。
善い行いをする習慣を身につけること。他人に悪いことや害を与える行為をしない習慣を身につけ、また瞑想によってマインドフルネスを実践すること。優しさ、思いやり、知恵を身につけること。貪欲、怒り、妄想を減らすことなど、できることはたくさんあります。
精神修養は僧侶だけのものだとばかり思われているかもしれません。けれど実際は、それはすべての人のためのものです。大切なのは、一歩一歩前進していくことです。健全な習慣を身につけ、不健全な習慣を手放せばいいのです。梯子を登るように、高い段につかまり、低い段を手放しましょう。そうやって、少しずつ上へ上へと昇っていくことで、真の幸福を手に入れることができます。
—— 幸福と快楽は違うと思いますか?もしそうなら、その2つの違いを教えてください。
幸福の程度はさまざまです。どちらも良い快感をもたらします。けれど、それらもまた異なるものです。快楽は短いスリルのようなもので、多くの場合、私たちの五感に由来するものです。これらの感覚的な快楽は、私たちを良い気分にさせますが、永久的なものではありません。ギャンブルと同じで、私たちはもっと欲しくなり、決して満たされることはないのです。
精神的な幸福は、私たちの心を高めてくれます。そのような幸福は、親切、満足、思いやりなどの健全な行為から得られます。これらの行為は、私たちを平和と永続的な満足という、より大きな幸せへと徐々に引き上げてくれるのです。また、この精神的な修養は、私たちにしばしば失望と不満をもたらす不安定な世界において、真の避難所を提供することができます。
——最後に、日本の読者にメッセージをお願いできますか?
このような機会を与えていただき、ありがとうございます。実は、わたしは日本と日本人が大好きなんです。私たちは時に、未来のことを心配しますが世界は常に不確実であることを忘れてはいけません。
私のインスタグラムは、@siha_the_wise (英語)と @siha_the_wise_japan (日本語)で見ることができます。これから更にワクワクするような投稿をしていきます。フォローして頂けたら嬉しいです。
ライター取材後記
欲しいモノを手に入れたり、食べたいモノを食べたり、もちろん一瞬の幸せや喜びを感じることはできますが、どれも永続的な安心感を与えてくれるものではありません。たくさんの情報が簡単に手に入れることができる便利な現代では、幸せを複雑化しすぎているのかもしれません。
内側とのつながりをしっかり持ち、常に自分は幸せであることを噛み締めて生きていきたいと思いました。
取材協力 - Siha the Wise
シンガポール出身。InstagramやFacebookで、「Siha the Wise」というコミックを連載中。仏教の教え(ダンマ)に従って生きる猫と幸せを求める野良猫たちの物語を通して、”優しさ”、”知恵”、”幸せ”についての教えを説いている。
AUTHOR
桑子麻衣子
1986年横浜生まれの物書き。2013年よりシンガポール在住。日本、シンガポールで教育業界営業職、人材紹介コンサルタント、ヨガインストラクター、アーユルヴェーダアドバイザーをする傍、自主運営でwebマガジンを立ち上げたのち物書きとして独立。趣味は、森林浴。
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