【65歳以上の5人に1人が認知症になる!?】理学療法士による「ダブルタスク」認知症予防ヨガ

 【65歳以上の5人に1人が認知症になる!?】理学療法士による「ダブルタスク」認知症予防ヨガ
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堀川ゆき
堀川ゆき
2021-06-30

最近忘れっぽい…と感じていませんか? 認知症=高齢者というイメージが強いですが、実は若年層にも軽度認知症の疾患例があります。 理学療法士でヨガインストラクターの堀川ゆきさんに、ヨガを取り入れた予防法をご紹介いただきます。将来の備えに実践してみてはいかがでしょうか。

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認知症とは?

認知症は、脳の病気や障害など様々な原因により、認知機能が低下し、日常生活全般に支障が出てくる状態をいいます。歳をとるほど認知症になりやすく、日本における65歳以上の認知症の人の人数は、2020年現在約600万人と推計され、2025年には約700万人が認知症になると推計されています。これは、高齢者の5人に1人にあたります。

MCIとは?

認知症のように日常生活に支障をきたすほどではないですが、記憶などの能力が低下し、正常とも認知症ともいえないグレーゾーンのことを「MCI(軽度認知障害)」といいます。MCIの人の約50%は5年以内に認知症に移行するとも言われています。2018年に放送されたテレビドラマ「大恋愛~僕を忘れる君と」では専門医監修のもと、とても精確で分かりやすくMCIが描かれていたと思います。

認知症予防には運動が重要

問診による検査、画像診断、血液検査などで認知症の早期発見は現在可能です。そういった検査は高齢になってからというイメージがあるかもしれませんが、ドラマ「大恋愛~僕を忘れる君と」の主人公の女医さんの発症年齢は、かなり早い例ではありますが34歳でした。

また、認知症の治療はさまざまですが、例えば、神経細胞の変性の原因といわれている脳内のアミロイドβの蓄積を防ぐ薬が現在開発中ですが、進行した認知症には残念ながら効果は無いとされています。認知症の早期発見・早期治療は、適切な治療やサポートを受けるために、そして傍にいる家族のためにもとても重要です。

そして、運動することで認知症の発生率や進行速度を低下させるという研究は数多く報告されています。ウォーキングやストレッチなどの身近な運動でも認知症への効果が実証されています。ウォーキングとストレッチについては以前のコラム、
【理学療法士が解説】そのウォーキングちょっと待った!運動効果がぐっと高まる「正しいウォーキング」
【理学療法士が解説!ストレッチの正解】ヨガのストレッチポーズをより効果的にするコツと注意点
で重要ポイントをお話していますので、参考にしてください。さて今回は、運動としてヨガに「ダブルタスク」というものを取り入れる方法をお伝えします。「ダブルタスク」は、認知症予防のために是非知って実践してほしいと思っています。

「コグニサイズ」と「ダブルタスク」

「コグニサイズ」とは、認知症予防を目指した運動プログラムです。国立長寿医療センターが、Cognition(コグニション=認知)とexercise(エクササイズ=運動)を掛け合わせて作った造語で、
・身体を使う運動課題
・頭を働かせる認知課題

この2つを同時に行います。それによって記憶力の向上、脳内の記憶と学習能力を司る海馬の委縮を食い止め、改善へと導く可能性があるとされています。
こういった2つの課題を同時に行うことを、「ダブルタスク(二重課題)」、またはデュアルタスク、マルチタスクといいます。

「ながら作業」ともいい、例えば日常だと、
・会話しながら料理をする、
・テレビを観ながら洗濯物を畳む、

運動では、
・踏み台昇降をしながら暗算をする、
・ウォーキングをしながらしりとりをする

など、「〇〇しながら△△する」といったものがダブルタスクになります。

では、そのダブルタスクを実際にどのようにヨガに取り入れたら良いのかを今回お話します。

運動する時の注意点

運動実施の10か条として、
1、無理はしないで徐々に行う
2、ストレッチしてから開始する
3、水分を補給する
4、痛みが起きたら休息を取る
5、トレーニング中の転倒に注意
6、少しの時間でもできるだけ毎日行う
7、「ややきつい」と感じられるくらいの運動を行う
8、慣れてきたら次の課題に移る
9、トレーニング内容は複数の種目を行う
10、継続が最も大切

が挙げられます。

こちらはコグニサイズ実施の10か条として掲げられていますが、コグニサイズに限らずヨガを含むすべての運動や、リハビリを行う上でも共通して重要な項目が的確にまとめられているため必見です。運動が安全かつ効果的なものとなるように、この10か条は必ず守りましょう。

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AUTHOR

堀川ゆき

堀川ゆき

理学療法士。ヨガ・ピラティス講師。抗加齢指導士。2006年に渡米し全米ヨガアライアンス200を取得。その後ヨガの枠をこえた健康や予防医療に関心を持ち、理学療法士資格を取得。スポーツ整形外科クリニックでの勤務を経て、現在大学病院にて慢性疼痛に対するリハビリに従事する。ポールスターピラティスマットコース修了。慶應義塾大学大学院医学部博士課程退学。公認心理師と保育士の資格も持つ二児の母。



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