「外見への自己嫌悪」を極めても人生の役には立たない|"自己嫌悪山"から下山するために今すべきこと

 「外見への自己嫌悪」を極めても人生の役には立たない|"自己嫌悪山"から下山するために今すべきこと
Nao Yoshino
吉野なお
吉野なお
2020-08-30

あなたは、今の自分が好きですか?「もう少し痩せたら好きになれる」「もう少し胸が大きかったら...」そんなふうに、今の自分ではない"理想の自分"ばかり追い求めて、理想と違う"現実の自分"を傷つけていませんか? 「ボディポジティブ」とは、ありのままの自分の体型や外見を受け入れようというもの。欧米を中心に世界的な盛り上がりを見せています。「痩せていた頃の自分より、今の自分が好き!」そんな吉野さんが考える「ボディポジティブな生き方」とは。

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ファンの方から時々こんな質問をいただきます。
「自分を好きになれないんです、どうしたらいいですか?太っているし、ブスだし、○○で、ここが○○でダメだって分かっているんですが、そんな自分を変えられないんです」
というもの。
ずっと太っている体が嫌いで、自己嫌悪の塊だった私が、プラスサイズモデルになるまでの過程に起こした大きな変化、実はそれは、自分を好きになったこと!ではなく、自分のふくよかな体を卑下したり嫌いになるのをやめてみたことです。
というわけで今回は、自己嫌悪からの脱却についてお話していきます。

自己嫌悪山で遭難してませんか?

私自身がそうだったのでよく分かるのですが、自分が嫌いという人は、自分の欠点をよく挙げられます。でもその自己嫌悪や自己卑下が人生で役に立ったことはあるでしょうか?むしろ何かを行動しようと思った時、足を止めるきっかけになったのでは?

つまり「こんなに辛いのにまだ自分を好きになれない、おかしいな」と思うのは、そもそも登るべき山を間違えて『自己嫌悪山』に登っている可能性が高いということ。

自分の嫌いなポイントを集めて山にして、また集めて山にして…。これは「エベレストに登っていたつもりが、高尾山(※東京にある山)に登っていた!」と同じぐらい大きな違い。そして間違いに気付いたとしても、山から山へジャンプすることは天狗でもない限り不可能。だから、エベレストに登る(自分を好きになる)には、まず今いる自己嫌悪山からいったん下山する必要があります。

「自分を変えたい」というアクションに対して、ずっと自己嫌悪山に立ち止まろうとすることは一番の遠回り。例えば「太っている」ことが嫌だったとしても、それをただ責めたところで急に太っている自分を好きになったり急激に痩せたりしませんし、自分で自分をブスだと思い込んだままでいると、いくら誰かに「あなたは美しい」と言われても、なかなかその言葉を受け入れられません。自己嫌悪山にいながら、いきなり自分を好きになろうとするのは難しくて当たり前。

そこから脱却するためには、まず「太っている自分を好きになれない」なら「太っている自分は嫌いじゃない」という思考へ変化させること、「自分を美人だと思えない」なら「自分はブスではない」という思考へ変化させることが必要です。自分が自己嫌悪山の登山者だと気付いたら、そうして少しずつ回れ右をして下山する癖をつけることだと思います。積もり積もってできた自己嫌悪山の頂上に『自分を好きになる秘宝』はないのです。

もうひとつ、自己嫌悪山からの下山に関して大事なのは「誰かの助けを待つこと」や「誰かに言われたからこうする」ではなくて「山を降りる」と自分で決めて、自分の足で下山すること。

私の場合は「世の中にはいろんな人がたくさんいるのに、このままずっと、私はおばあちゃんになるまで自分の体型ばかりを気にしたり過食症に悩んだまま生きるの?」と自問自答し、「それって実はとても損した生き方かもしれない、今までずっと自分の体を嫌いでいたけれど、受け入れてみたらどうなるんだろう?」という思いに至ったのがきっかけでした。

それまではずーっと痩せることばかり考えていましたが、痩せることを諦める、というよりも、まず『どんな体でも自分の体を受け入れてみよう』と思えたのです。一気に飛躍しようとせず、その間にある落としどころを自分で見つけられたことで自分の心の声をよく聞くようになり、私は少しずつ心身ともに回復していきました。

周りからのネガティブに賛同しない

究極の自己嫌悪になると「私はブスだから他人にブスだと言われて当然だ」と思い込んでいる女性もいます。でも、自分で思うのと他人に言われるのとでは、全く違うんです。例えば、自分でぼんやりと「整形したいなぁ」と思うのと、他人に「整形しなよ」と言われるのでは、結果は同じでも意味合いが全く違いますよね。
あなたの体や容姿は、あなたのもの。だから誰かが安易に貶したりコントロールしようとするものではありません。例えあなたに向けられた言葉であっても、その言葉の持ち主は相手のもの。反芻することで自己嫌悪に追い討ちをかけるような言葉には賛同しなくて良いのです。

私でも時々、うまくいかないことがあると答えの出ないネガティブ思考に陥ります。でもそんな時は心のブルドーザーでネガティブ山を切り崩します。それから面白そうな映画を探してみるとかメイクの研究をしてみるとか、散歩をして体を動かしたりします。自分にとってプラスになる経験や知識を増やした方が、圧倒的に将来のためになるからです。

じっとしていても人生は変わらないので、物事の視点を変えるか、何かを行動に移すこと。そうするうちに思わぬところへ人生が転がっていくかもしれません。

まとめ

①自分の嫌なところを探して集めて頂点を極めても、自分を好きになることには繋がらない
②自分を好きになると言うことは、魔法のように一瞬でできることではない
③でも「自分を嫌いになるのを止める」ことはできる!

吉野なおコラム山写真
photo by Nao Yoshino

ライター/吉野なお
プラスサイズモデル。雑誌『ラ・ファーファ(発行:文友舎)』などでモデル活動をしながら、摂食障害の経験をもとに講演活動やワークショップなども行っている。

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