7人のヨガ賢者が語る「今、伝えたいヨガの精神」ヤスシ先生編

「学び始めた当初はレッスンに参加するたびに、自分より上手にポーズをとる人を見て、できない自分に落ち込みました。その頃の僕は、劣等感をいっぱい抱えていました。レッスンにも日常にも自分を否定する材料がたくさんあり、自分の存在価値を感じることが、とても難しかった」
――ターニングポイントになったのは?
「そのターニングポイントになったのはティーチャートレーニングでヨガ哲学に触れたこと。人は何かができるとか、何かを知っているから価値があるのではなくて、誰もが完璧な存在として生まれてきた宇宙からの贈り物。この世に誕生したことだけで素晴らしく、価値があるという教えでした」
「大げさかもしれないけれど、僕はそのことに気づかなかったら、生きていられなかったかもしれません。いろんな出来事や辛いことを、その都度悩んでいたらキリがないし、特に僕はたくさん劣等感を抱えていたので、やっぱり辛かったんですね。ヨガは僕が何かできるという証明はしてくれないけど、『生まれてきた以上、あなたはここにいていいんだ』ということを伝えてくれた。この、自分の存在価値をつかんでおくという大元があったから、一つひとつ悩んだり、摩擦を起こしたりせずに、生きてこられたと思うんです」
――心は存在価値をいったんつかんだとしても、見失いやすいもの。それを思い出し続けることがヨガの練習だと言います。
「今でも、自己嫌悪に陥りそうになります。だからヨガの練習をして毎日、自分の存在価値を思い出します。そうすることで自分を信じることができ、笑顔で過ごす時間が増えるんですよね。僕は生徒さんにいつも『あなた自身の存在価値を、あなたにわかってほしい』と願いながらレッスンをしています。多様であっていいんです。できない、違うといって自分の存在を否定せず、あきらめずに、寛容になること。自分だけでなく、人にも多様に存在するためのスペースを、許してほしいと思います」
インタビューに答えてくれたのは…ヤスシ先生
スタジオ・ヨギーのエクゼクティブ・ディレクター。約30年暮らしたニューヨークから、昨年帰国。ハートフルかつユーモアあふれるクラスは、日常生活とヨガをつなぐ解説と、繊細なアプローチに定評がある。
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