初夏の体を養うカギは「心」のはたらきを助ける赤い食材|せきねめぐみの、肩の力を抜くごはん

 初夏の体を養うカギは「心」のはたらきを助ける赤い食材|せきねめぐみの、肩の力を抜くごはん
Megumi Sekine
関根愛 
関根愛
2022-04-30

SNSで見かける、彩り豊かな食事の写真。見るからに栄養がありそうで、こんな食生活を送ってみたいと思う人は多いでしょう。でも「そんなに頑張れない…」という人も少なくないはずです。時間もない、料理が得意じゃない、不器用なあなたに伝えたい「頑張らないごはん」。意識すべきポイントは、とってもシンプルです。今日からできる「簡単な食養生」、教えてくれるのはマクロビオティックマイスターの関根愛さんです。

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おはようございます。4月最後の一日。ゴールデンウィークはいかがお過ごしでしょうか。明日から5月に入り、2日はいよいよ春も終盤の「八十八夜」。そして端午の節句でもある5日に立夏を迎え、暦の上の夏となります。生茂る新緑や半袖でも汗ばむ日中の気温、虫たちの活発なうごきに夏の足音を感じます。まさに初夏というすがすがしい響きがぴったりの時期ですね。ふと気がつくと菖蒲(あやめ)がみごとな花を咲かせています。5月の和名は皐月ですが、別名菖蒲月ともいわれるそうですよ。

ところが最近はぽかぽか陽気と肌寒いじっとり雨の日を交互に繰り返し、気温は上がったり下がったり。体調管理がむずかしいこの気候に体が参ってしまう方も少なくないのではないでしょうか。昨日はあんなに太陽が照りつけ、あまりに暑くて服の中を通り抜ける風と仲良しだったのに、今朝起きてみると足腰が冷え冷えして心の中まで寒く頼りない。ふだんから気をつけてはいても、さすがに「こんな急激な変化はそりゃないよ」と体の声が聴こえてきます。乱高下する気温と上手に付き合いながら、体を労わる食養生を心がけていきましょう。

夏に弱りやすいのが五行の中の「心(心臓)」。エネルギッシュな夏は心の活動がもっとも活発化する時期であり、逆に言えば心に負荷のかかりやすいタイミングということにもなります。マクロビオティックの食養生では、心のはたらきを助ける食べ物の代表的なものとして「赤いもの」があります。私がおすすめする体に負担をかけない赤い食材は、トマト、クコの実、人参、梅干し、お味噌などです。これらの食べ物は血液の循環をよくし、暑い季節に体内にこもりがちな熱を外へ発散させる効能を持ちます。これにより季節に応じて心のはたらきを助けるのです。トマト以外にもこれから旬となるきゅうり、ゴーヤ、なす、オクラ、ピーマンなどの夏野菜も同じ発散作用がありますので、一緒に摂ってあげるのもおすすめ。

せきねめぐみ
旬を迎える夏野菜はそのままシンプルに素材の味を味わってもいい
photo by Megumi Sekine

調理する時に大切なのは組み合わせ。夏だからといって夏野菜ばかりに偏ってしまうと今度は体が冷えます。体の熱を外へ逃す食材と、体を温める食材、そしてその中間である中庸の食材を上手なバランスで取り入れること。その日の運動量や汗をかいた量、体調などをしっかり見極めたうえで体の声に応えるようにして食べるものを決めていきます。

初夏におすすめの赤い食材を使ったシンプルな副菜として、トマトとお豆腐の甘酒サラダはいかがでしょうか?ざっくりくし切りのトマトをメインに、同じく赤い食材のラディッシュをうす切りし、白炒りごま、甘酒、すり生姜、醤油、塩を混ぜ合わせたドレッシングをかけてさっくり和えていきます。体を温める陽性食材の生姜や醤油、塩をしっかり効かせるのが大切。冷やす夏野菜とのバランスを取ります。さいごに固めのお豆腐をスプーンですくって優しく絡めてあげればできあがり。黒ごま豆腐や葛入りのごま豆腐でも美味しくなります。ポイントは調理する30分ほど前にお豆腐を冷蔵庫から出しておくこと。陰性食材のお豆腐や豆乳の体をクールダウンさせる力はとても強く、私は冷たすぎるお豆腐を食べるとお腹や子宮あたりがきりきりすることも。少しでも冷たさが和らぐよう適宜外に出してから、キンキンではなくなった状態で和えて食べましょう。真夏や湿気の多い場所などで長時間常温で放置することは向いていませんが、できる範囲でトライできたら体にも優しいですね。

トマトとラディッシュ(赤い食材)、黒ごま豆腐の甘酒ドレッシングサラダ
トマトとラディッシュ(赤い食材)、黒ごま豆腐の甘酒ドレッシングサラダ
photo by Megumi Sekine

 

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関根愛 

関根愛

俳優を始めた十数年前よりアトピーなどさまざまな心身の不調を感じてきたことで、薬に頼るのをやめて自分の体の声を聴きながら養生していくために自然食を始める。「じぶんらしく生きるための食養生」をテーマにInstagramやnote、Youtubeで日々発信をつづける。マクロビオティックマイスター。映画制作者、ライター、翻訳者としても活動。座右の銘は「山動く」。



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