19年に及ぶ「人生の暗闇」から学んだこととは|陰陽ヨガの提唱者ジャネット・ラウ インタビュー

 19年に及ぶ「人生の暗闇」から学んだこととは|陰陽ヨガの提唱者ジャネット・ラウ インタビュー
SHOKO MATSUHASHI

2月にワークショップのために来日した、香港の人気ヨガティーチャー、ジャネット・ラウさん。2009年からヨガフェスタやワークショップ、TTなどで来日し、日本にも多くのファンがいるジャネットさんに、自身が提唱する陰陽ヨガや最新の著書についてお話を聞きました。

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――ジャネットさんが提唱する陰陽ヨガとはどんなヨガでしょう?

ジャネット・ラウ(以下、ジャネット):陰陽ヨガは陽的要素の強いヴィンヤサと陰的要素の強い陰ヨガを融合させ、心身の状態にあわせて組み立てていくヨガです。アラインメントの正しさを追求するよりも、エネルギーの流れを重視したポーズで、フローを構成。よって難しいポーズはほとんど行いません。

ジャネットラウ
(Photo by SHOKO MATSUHASHI)

私はパワーやアシュタンガといった体をアクティブに動かすヨガからスタートし、その後、陰ヨガに出会いました。約14年間、両方のスタイルのプラクティスを重ねていくなかで、パワーやアシュタンガをやりすぎると競争心が煽られる自分に気づき、陽と陰を融合させることにたどり着いたのです。

――心身の状態に合わせるとのことですが、クラスでは具体的にどのように組み立てていくのでしょう?

ジャネット:クラスの内容は毎回、その日の生徒さんたちのニーズに合わせて決めます。ですから、ヤン(陽)をメインにして汗をかく日もあれば、イン(陰)をメインにして心を鎮める日もあります。

――すべては先生ではなく、生徒さんありき。

ジャネット:そうです。私にとって「教える」とは、目の前の人とつながること。生徒さんのエナジーを感じ取り、その時、皆さんが必要としているものを提案しています。ですから、今回行った東京でのWSも、どんなクラスにするのか、当日まで決めていなかったんですよ(笑)。でも、生徒さんの前に立つと、表情やボディランゲージから今、皆さんが何を必要としているのか自然とわかります。実はTTやリトリートの際も、まったく同じスタイルでクラスを進めます。勇気はいりますが、自分の感覚を信じて続けています。

――クラスではどんなお話をされるのでしょう?

ジャネット:大半は自分自身の話を赤裸々にしていますね(笑)。何故なら最もリアリティがあり、生徒さんの心に響くと感じるからです。自分や自分の生徒さんがどんな悩みや葛藤を抱えていたか、それをどのようにして克服してきたのかを話し、そして皆さんはどう感じるのか? を問います。決して「こうしたほうがいいよ」というアドバイスはしません。「どう感じていますか?」と質問を投げかけることで、生徒さん自身が、本当にしたいことに気づける場にしたいのです。

――この度、二冊目の著書『THE DARKNESS&LIGHT OF LIFE』を香港で出版されました。こちらはどのような内容になっていますか?

ジャネットラウインタビュー
二冊目の著書『人生黒白(THE DARKNESS&LIGHT OF LIFE)』

ジャネット:人生の影と光をテーマに、私自身の経験をもとにしたショートストーリーを綴っています。最初のパートは感情について、次のパートは信念について、そして最後は愛について、お話ししています。

――光と影にフォーカスした理由は?

ジャネット:スピリチュアル系の本って、何故かポジティブな内容ばかりでしょう? 多くの人はダークなことでモヤモヤしているから本を探しているのに、ギャップが激しいと感じていました。

ジャネットラウ
(Photo by SHOKO MATSUHASHI)

また、ポジティブな話に触れると、ネガティブな自分への嫌悪感を増長させてしまいます。でも、ネガティブなときに、その感情を抑制したり否定したりしても何の解決にもなりません。私自身19年間、鬱を抱えていましたが、人生の暗闇からさまざまなことを学びました。そして人生の光からは、自分自身や世界を信じる心を教わりました。

よい人生は、自分の影の部分を認めることからスタートします。自分に自信が持てず、葛藤する多くの人にとって、この本が人生の光に向かっていくためのツールになってほしいと願っています。

――何度も来日されていますが、日本の生徒さんを見て特別に思うところはありますか?

ジャネット:そうですね……日本では特に、多くの人が「社会的な自分の役割り」というものに縛られ、その役割をうまくこなすことに注力しすぎているように感じます。

誰に対してもいい人であり続け、社会に求められる役割をこなしながら、本来の自分自身でいるのはとても困難です。何故なら自分に素直になると、大抵の人は社会的な役割にそぐわなくなり、そこに葛藤が生まれ、結局、自分をおし殺すことになるからです。

私たちは、「これが正しくてこれが間違っている」とか「これはするべきではない」と社会の目を通してジャッジを下しがちです。でも本当は、自分で思ったこと感じたことが、常に自分にとっての正しいことである、と知ることが大切だと思います。

ジャネットラウ
(Photo by SHOKO MATSUHASHI)

日本人に限らず、世の中の人々は皆、ハッピーでありたいし、ハッピーであるために自分も変わりたい、と感じているのではないでしょうか。実際、私のクラスにくる生徒さんは、内面の潤いや栄養を求める人がとても多いのです。これからも、自分のことをよく知りたいと考えている人たち、もう少し自分に優しくしてあげたいという方たちに、ヨガを伝えていきたいと思っています。今年は日本のヨガフェスタでクラスを持つ予定です。皆さんも是非、参加してくださいね!

 

 

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Photos by Shoko Matsuhashi
Text by Kyoko Nagashima(Lush!)



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