初めての知覚過敏、原因の1つは加齢と言われて老いの波を実感。心にもしみる…【連載 #発酵適齢期】

 初めての知覚過敏、原因の1つは加齢と言われて老いの波を実感。心にもしみる…【連載 #発酵適齢期】
canva
高木沙織
高木沙織
2023-07-02

そんな、まさか…。オーラルケアには気を使っていたのに! 今回は、40歳目前で発症したお口のあのトラブルについて語っていきます。

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こんにちは。ライターの高木沙織です。

冷たいものが歯に触れたときのキンッとした刺激、知覚過敏。私が初めての知覚過敏を自覚したのは、ちょうど1年前。39歳のときです。それからというもの、知人とのランチで生野菜のサラダを食べたときにキーン! カフェでアイスコーヒーを飲んだときにキーン! さらには寒空の下、口を開けて笑っただけでもキーン! 人前ではなんてことないふうに見せているけれど、1人でいるときは思わず顔をしかめてしまうほど地味~にツラいっ。

これまでオーラルケアには気を使ってきたほうなのに、一体どうなってるの? かかりつけの歯科医師に相談したところ、原因の1つにはまたあの言葉。加齢…って。歯だけでなく、心までしみるじゃないか。

そんなわけで第8回目の『発酵適齢期』、今回のテーマは知覚過敏です。

流行りの口内洗浄液を使っていたら…

オーラルケア後進国といわれる日本。振り返ってみると、20代の頃の私は口腔内のケアといったら食後の歯磨きと定期的なホワイトニングくらいしかしていませんでした。そんなある日、アメリカ国籍の知人からこんなことを言われたのです。

知人:「歯磨きのあと、フロスしないの?」
私:「フロスって、歯医者さんに行ったときにするものじゃないの?」

お互いに顔を見合わせて「えー!」でした。それからというもの、歯の健康のために歯磨きとフロスはセット(フロスはたまに忘れるけれど)。眠っているあいだ、口の中の細菌を増やさないようにマウスウォッシュでグチュグチュとうがいをしてから就寝。大きな口を開けたまま過ごさなくてはいけない歯科受診は決して得意ではないけれど、検診とクリーニングを定期的に受けてきた甲斐もあって、特筆すべきトラブルに見舞われることもなく30代を迎えます。

ところが、ちょうどその頃。コーヒーの美味しさと、カフェインの覚醒感に魅入られてしまった私。1日3杯ほど飲むようになると、みるみるうちに歯には黄色っぽい着色汚れが蓄積していきます。すると今度は、「白くてキレイな歯を保ちたい」と見た目の清潔感への意識がグングンと上昇。ホワイトニングサロンに通ったり、歯磨き粉はホワイトニングを謳ったものに変えたり。コロナ禍でサロンに通えないときは、ドラッグストアで買える歯に貼るタイプのホワイトニング商品を使ったりして、陶器のように真っ白ではないけれど、まあまあ白い歯を保つことができていたと思うんです。自分の口腔環境には、そこそこ満足もしていました。しかし、キーンは突然に…。

あれは、今話題の口の中の汚れや磨き残しを除去して、口臭の原因になるタンパク質を洗い流す口内洗浄液(茶色い汚れを目視できるアレ)を使ったときのこと。

私:「…んんっ!?」

右上の奥歯のあたりに、キーンと突き刺すような感覚。次の瞬間、慌てて洗浄液を吐き出しました。水でうがいをすると、これがめちゃくちゃしみて悶絶。ズキズキと響くような虫歯の痛みではないことから、きっとアレだ。知覚過敏だ…と、すぐにピンときました。それと同時に、知覚過敏なら歯磨き粉でも対処できるだろうと。その考えが甘いものだとわかったのは、わずか数日後のこと―。

知覚過敏で歯科受診、医師が言うには

歯がしみるのを防ぐ歯磨き粉を使っても、一向に改善されないキンとする感覚。自己判断でなにか重大なトラブルを見落としていては大変だと、すぐさま歯医者の予約を取ります。

私:「1週間くらい前から、歯がしみるんです」
医師:「じゃあ、ちょっと診てみましょうね」

歯の表面を器具でコツコツされても、歯茎をチクチクとチェックをされても全然痛くない。<なんだ、思ったより悪くなさそう>そう思ったのもつかの間。“シューッ”と風を吹きかけられた瞬間、素早く挙手(痛かったら手をあげてのヤツ)! 揚げ句、「それ、無理です」と拒否。なんとかしてひと通り診てもらった結果、虫歯はナシ。歯周病も大丈夫。ホッと一息つくと―。

医師:「高木さん、結構久しぶりの受診ですよね? 」
私:「半年…?は来てなかったかもしれないです」
医師:「うーん、これ歯茎が下がり始めて知覚過敏になってますね。取りあえず、歯の表面に薬を塗って様子をみましょうか」
私:「えっ、歯茎が下がってるって…。歯磨きの力が強すぎるってことですか? マウスウォッシュのしすぎとか、コーヒーの飲みすぎは関係ありますか?」

矢継ぎ早に聞くと、「歯磨きは優しい力で」との回答。そりゃそうだ。気になるマウスウォッシュやコーヒーはさほど関係ないそう。

医師:「高木さんの場合、原因はまあ加齢による歯肉の退縮と…あと歯ぎしりの痕跡がありますね」
私:「か、加齢…」

ここでもまた加齢が出てくるとは…。まったく加齢とは、手を緩めることなく迫りくるそのタフさがある意味羨ましくも思えてくるではないですか。

医師:「加齢はね、ある程度仕方のないものですから。それより歯ぎしりですね。歯が摩耗したり、歯肉が痩せたりすると知覚過敏の症状が出ることがあるから、そっちを改善したほうがいいでしょう」

そういえば、歯ぎしりには心当たりがあります。主に夜、寝ているとき。いつからしていたのかは覚えていないけれど、奥歯をグッと噛んでいたり、カチカチと上下に鳴らしていたりすることがたびたび。気をつけようにも、無意識でやっていることだからコントロールでき…ません、じゃ済まないのが歯ぎしり。医師が言うには、この寝ているあいだの無意識の歯ぎしり・食いしばりにはなんと100kg近くの力がかかっているそう。なかには、歯が欠けたり割れたりしてしまうケースもあるみたい。いや、だいぶ深刻じゃん…歯ぎしり。というわけで、この知覚過敏は加齢ではなく、歯ぎしりのせいなんだと勝手に脳内変換。現実逃避をしてやり過ごしています。夜のおともは、着心地の良いパジャマの代わりに型取りをして作ったマウスピース。5,000円也。

でも、アレですよね。1人で寝るときはいいけれど、付き合い始めの彼とお泊りのときはどうするんでしょう? マウスピースなしで、思いっきり歯ぎしりしてしまうのか。はたまた「マウスピースつけるね」と宣言するのか。あ、そんな心配は今のところいらないんだった。

肌のシミやしわ、たるみ、ボディラインの崩れ、それに白髪…。見た目にあらわれる加齢も切実だけど、パッと見ではわからない加齢の症状まで出てきた40歳。「人生、今が1番若い」とはよく言ったもので、今日より明日、1年後より2年後の自分は確実に齢を重ねているわけで、その延長線上には間違いなく新たな悩みがあることでしょう。今の私が知覚過敏で通院しているだなんて、過去の私が考えさえしていなかったように。

ただ、その1つ1つに落ち込みながらも、少しでも良くしようと抗っている自分を想像してみたらほんの一瞬だけ愛おしく思えたから不思議。そして、過ぎ去った一瞬のあとには「老いたくなーいっ!」と声を大にして叫びたがっているいつもの私がいるのでした。「歯がしみるのを気にせずに、トマトを丸かじりしたい!」も付け加えます。

ではまた、第9回目で。

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高木沙織

高木沙織

ヨガインストラクター。「美」と「健康」には密接な関係があることから、インナービューティー・アウタービューティーの両方からアプローチ。ヨガインストラクターとしては、骨盤ヨガや産前産後ヨガ、筋膜リリースヨガ、体幹トレーニングに特化したクラスなどボディメイクをサポートし、野菜や果物、雑穀に関する資格も複数所有。“スーパーフード”においては難関のスーパーフードエキスパートの資格を持つ。ボディメイクや食に関する記事執筆・イベントをおこない、多角的なサポートを得意とする。2018~2019年にはヨガの2大イベントである『yoga fest』『YOGA JAPAN』でのクラスも担当。