お酒に強い人と弱い人、お酒を飲んで顔が赤くなる人と赤くならない人…何がどう違う?医師が解説

 お酒に強い人と弱い人、お酒を飲んで顔が赤くなる人と赤くならない人…何がどう違う?医師が解説
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甲斐沼 孟
甲斐沼 孟
2022-12-14

忘年会やクリスマスなどお酒を飲む機会が増える年末年始、アルコールと上手に付き合うために知っておきたいことを医師がわかりやすく解説します。

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アルコールを飲んで顔が赤くなる人と赤くならない人の違い

アルコールを飲むと顔が赤くなるのは、肝臓でアルコールを分解すると合成されるアセトアルデヒドという物質によるものであり、アセトアルデヒドが体内で十分に分解されない場合には、全身の血管が拡張して顔も赤くなります。

アセトアルデヒドという物質は、アセトアルデヒドを分解する酵素によって我々の身体で分解されて体内に吸収されていくことが知られており、顔が赤くなる人と赤くならない人の決定的な違いはこの分解酵素の強さと考えられます。

一般的に、アセトアルデヒドを分解する酵素の活性度は、活性型、低活性型、非活性型に分類されており、通常お酒やアルコールに弱い方は、低活性型、あるいは非活性型の場合に該当します。

酵素活性度が低活性型や非活性型の人は、アセトアルデヒドを十分に分解できないために、アルコールを飲んで顔が赤くなりやすく、少量飲酒しただけでも酔っぱらった酩酊症状が出現しやすいと考えられます。

その一方で、いわゆるお酒に強い方々は、酵素活性度のタイプが活性型であり、アセトアルデヒドが分解されやすいために、顔が赤くならずに、ある程度の量を飲酒してもあまり酔っぱらった状態になりにくいと想定されます。

アセトアルデヒドを分解する酵素活性の強度は、個々の遺伝や性別、体格などによっても影響を受けると言われており、例えば両親がもともとお酒に弱く、飲酒すればすぐに顔が赤くなるような人の場合には、その子どもも同様の体質になるパターンが多く見受けられます。

アルコールに強い人と弱い人の違い

アルコールに対する耐性は、人それぞれであり、お酒やアルコールに強い人と弱い人の決定的な違いは、その人の生体がどの程度アルコールに対して代謝が活発かどうかに大きく左右されます。

アルコールはその成分のほとんどが肝臓で分解されることが知られており、肝臓レベルでのアルコールの分解や代謝が活発であればアルコールに強く、逆にその代謝サイクルが弱い場合にはアルコールに弱いと考えられます。

一般的に、肝臓でアルコール成分は、肝細胞にあるADH (正式名称:アルコール脱水素酵素)やMEOS(正式名称:ミクロソームエタノール酸化系)の機能によってアセトアルデヒドに分解されます。

さらに、アセトアルデヒドは肝臓内にあるALDH2(正式名称:アルデヒド脱水素酵素2)の働きによって、無害な酢酸に分解されたのち全身を循環して、水と二酸化炭素に分解されて汗や尿として体外に排出されることになります。

アセトアルデヒドは毒性のある有害物質であり、アルコールに弱くアセトアルデヒドを早く確実に分解できなければ、顔が赤くなる、吐き気を催す、動悸を引き起こすなどの症状を認める傾向があります。

強く酔う人と全く酔わない人の違い

アルコール
強く酔う人と全く酔わない人にも違いが。
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飲酒をして強く酔う人と全く酔わない人の差は、簡単に言えばアセトアルデヒドを分解する能力の違いということになります。

個々の体質などによって、アセトアルデヒドを分解する身体の酵素がまったく活性化されないタイプから分解酵素が活性化されやすいタイプまで幅広く存在します。

お酒を飲めば強く酔う人はアセトアルデヒドを分解する能力が低く、その逆に全く酔わない場合にはその分解能力が高いと考えられます。

また、全体的に男性よりも女性の方がアセトアルデヒドを分解する酵素の活性力が弱く、飲酒した際により強く酔いやすいと伝えられています。

まとめ

これまで、アルコールを飲んで顔が赤くなる人と赤くならない人の違い、アルコールに強い人と弱い人の違い、強く酔う人と全く酔わない人の違いなどを中心に解説してきました。

個々が持つアルコールの耐性や酵素の活性度が違うために、人によって酔いやすいお酒の種類や飲酒量が異なります。

普段の生活でお酒を飲み過ぎて気分不良など悪酔いになるのを予防するためにも、自分がある程度お酒に強いか、あるいは弱いかを知っておくことが重要ですね。

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甲斐沼 孟

甲斐沼 孟

大阪市立大学(現:大阪公立大学)医学部を卒業後、大阪急性期総合医療センターや大阪労災病院、国立病院機構大阪医療センターなどで消化器外科医・心臓血管外科医として修練を積み、その後国家公務員共済組合連合会大手前病院救急科医長として地域医療に尽力。2023年4月より上場企業 産業医として勤務。これまでに数々の医学論文執筆や医療記事監修など多角的な視点で医療活動を積極的に実践している。



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