日本人の3人に1人が脂肪肝。痩せていても注意!?脂肪肝の人が今日からすべきこととは|医師が解説

 日本人の3人に1人が脂肪肝。痩せていても注意!?脂肪肝の人が今日からすべきこととは|医師が解説
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甲斐沼 孟
甲斐沼 孟
2024-05-13

日本人の3人に1人が脂肪肝であるといわれています。肥満体型の方だけでなく、いわゆる痩せ型体型の方でも発症することがあります。脂肪肝の人が今日からすべき生活習慣などについて医師が解説します。

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脂肪肝とは

脂肪肝は、肝臓に脂肪がたまった状態を指しており、成人の2〜3割が発症し、肝臓の病気の中で最も多くを占める病気です。

特に、肥満者の80%は脂肪肝がみられるといわれています。

脂肪肝とは、余分な糖質や脂肪が中性脂肪に変化し、脂肪が過剰にたまり肝臓全体の30%以上を占めている状態のことを指します。

食べすぎや運動不足などの生活習慣の乱れによって発症する場合が多く、日本人の3人に1人が脂肪肝であるといわれています。

中性脂肪のたまりやすい肥満体型の方だけでなく、いわゆる痩せ型体型の方でも発症することがあります。

脂肪肝では初期症状は出にくいため、健康診断などを受診した際に初めて気が付くというケースも多くみられます。

脂肪肝は大きく2種類に分類され、アルコールの過剰摂取による「アルコール性脂肪肝」と飲酒歴がなくても発症する「非アルコール性脂肪肝」に分けられます。

脂肪肝は放置すると、肝硬変や肝癌などの病気に進行する可能性もあり、早めに適切な治療や生活習慣の改善をすることが重要です。

脂肪肝
健康な肝臓と脂肪肝、慢性肝炎、急性肝炎、肝硬変、肝臓がんの違い(イメージ) イラスト/Adobe Stock

脂肪肝の人が今日からすべき運動

運動をすることで、肝臓にたまった脂肪がエネルギー源に変わります。

運動量が増えるほど、エネルギーとして消費されるため、脂肪が減っていき脂肪肝が改善します。

脂肪肝の改善には有酸素運動(ウォーキング、ジョギング、水泳)と軽めの筋トレ(スクワット、片足立ちなど)を組み合わせて行うことが効果的です。

特に、非アルコール性脂肪性肝疾患のように肥満やメタボリックシンドロームなどが背景として存在している際は、運動して体重を減量する、あるいは筋肉を鍛えるなどの対策が必要となります。

具体的に、有効性が保証されている運動メニューとしては1回45分程度で週3回程度の有酸素運動を数か月間継続することで肝臓の脂肪化を改善させる効果が見込まれています。

脂肪肝の人が今日からすべき食事

脂肪肝は生活習慣と関連して発症することが多いということが判明しており、肝硬変などに進行していない状態であれば普段の生活習慣を見直して改善することで肝臓の機能が回復することも十分に期待できます。

脂肪肝を改善するためには、バランスの良い食事を心がけましょう。

脂肪肝は特に炭水化物や果物などの糖質が原因となりやすいため、食べ過ぎてしまっている方は減らす必要があります。

脂肪肝の改善には、野菜類、海藻類、脂肪分の少ない肉や魚、大豆製品、卵などの食材を意識して摂取するようにしましょう。

糖質・脂質をできるだけ控え、良質なタンパク質を摂取することを心がけるとともに、食事内容を整えるだけでなく、「よく噛んで食べること」や「野菜から順番に食べること」も脂肪肝の改善には重要なポイントです。

脂肪肝は、血中のLDL(悪玉)コレステロール値が上昇する原因となる疾患です。

緑茶に含まれるカテキンには抗酸化作用があり、悪玉のLDLコレステロールを肝臓に取り込んで分解や排泄する機能をサポートして、血中のLDLコレステロール値を低下させる働きをすることが明らかになってきました。

したがって、抗酸化作用を有する緑茶やポリフェノール類を多く含む野菜や果物を取り込むことも脂肪肝対策には有効的であると考えられます。

まとめ

これまで、脂肪肝とはどのような病気か、脂肪肝の人が今日からすべき生活習慣などを中心に解説してきました。

脂肪肝になる原因は、食べ過ぎ、飲み過ぎ、運動不足、肥満、無理なダイエットなどが挙げられます。

脂肪肝の原因をふまえて、脂肪肝を改善するポイントは、バランスの良い食事を摂取する、適度な運動を心がける、アルコールの過剰摂取を控える、無理なダイエットは控えることになります。

脂肪肝の改善には、食事改善や適度な運動、過度な飲酒を控えるなど普段の生活習慣を改善していくことが必要です。

脂肪肝を放置していると、肝硬変や肝がんへ進行する場合もあるため早めに適切な対応をするようにしましょう。

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甲斐沼 孟

甲斐沼 孟

大阪市立大学(現:大阪公立大学)医学部を卒業後、大阪急性期総合医療センターや大阪労災病院、国立病院機構大阪医療センターなどで消化器外科医・心臓血管外科医として修練を積み、その後国家公務員共済組合連合会大手前病院救急科医長として地域医療に尽力。2023年4月より上場企業 産業医として勤務。これまでに数々の医学論文執筆や医療記事監修など多角的な視点で医療活動を積極的に実践している。



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