なぜあの人はわがままなのか、そしてなぜ私はわがままな行動をとってしまうのか|わがままの心理学

 なぜあの人はわがままなのか、そしてなぜ私はわがままな行動をとってしまうのか|わがままの心理学
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石上友梨
石上友梨
2021-03-19

あなたの周りに、わがままな人はいませんか?または、あなた自身が「わがままな人だ」と認識されていませんか?

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わがままになってしまうのはなぜ?

わがままな人に悩んでいませんか?「あの人はなぜわがままなのだろう」「わざとやっているのかな」「わざとやっても損するだけなのにな」…そんなわがままな人に悩んでいる方もいれば、自分自身がなぜかわがままな行動をとってしまう。そんなつもりはないのに、他人からわがままだと言われる。そんな場合もあるかもしれません。今回はわがままな人の心理について検討したいと思います。

わがままな振る舞いについて

あなたのイメージするわがままな人はどのような人でしょうか。他者に共感せず、他者の欲求など気にしない様子で、自分の言いたい事ややりたい事を通し、それが当然かのように振る舞う人でしょうか。そのようなわがまま人の中には、子供の頃からわがままが通る環境にいたため、自分の欲求をうまくコントロールできない場合があるでしょう。大人になった後も、昔と変わらずに同じパターンで他者と接しているのです。しかし、中には傷ついた心を守るために、そのような態度をとる人がいます。例えば、子供の頃から「これが欲しい」というわがままは受け入れてもらえたけど、物だけを与えられて、自分の気持ちや想いは受け止めてもらえなかった人。人から大切にされずに、自分は価値がない存在だと心の奥底で思っている人。そんな思いの反動として、価値がある存在として扱われているかのように、自分の欲求を通そうとしている場合があるでしょう。もしも要求が通れば、自分は少しでも価値ある存在として認められたと感じることができるのかもしれません。

もし、子供の頃からわがままが言える環境だった場合は、「今は子供の頃とは状況が違う」と認識してもらう必要があるでしょう。「できること」と「できないこと」をしっかり区別し、周囲はそれを伝え、それ以上の要求は受けないことが大切です。人はみな平等で、同じ権利を持っています。それを相手に伝えていくことが必要でしょう。しかし、傷ついた心を守るためだとしたら、その人は支援が必要な状態かもしれません。

わがまましたくてしているわけじゃない?

あなたの周りのわがままな人はどのような性格でしょうか。もしかしたら、わがままな行動をとりたくてとっているのではないのかもしれません。例えば、怒られることに対する過剰な恐怖を抱えているから、自分を大きく見せるために、自分を偽ったり、マウントを取ろうとしてわがままな行動をとっているかもしれません。また、その人の心の底には大きな傷つきがあり、他の人には何でもないような状況でも傷つきが刺激され、冷静な判断ができなくなり、反射的にその場にふさわしくないような行動をとってしまうのかもしれません。

わがまま
わがままな行動をとる背景にあるものは、自分を大きく見せるためのマウントか、自分の心の傷が刺激され冷静な判断を失って反射的に行動をとっていることも考えられます

劣等感について

傷つきが心の底にあり、大きな劣等感を抱えていたり、自分の存在自体を恥じていたりする場合、自分の欠点がバレないのように振る舞うこと、マウントをとることがあるでしょう。尊大でわがままな態度や過度な他者批判的の裏には、劣等感が隠れている場合が多いのです。自分の心の傷つきや劣等感を認めると、悲しくなったり、落ち込んだり、辛い感情が大きくなります。わがままに振る舞うことで、その辛さに目を向けずに済むのです。辛さを誤魔化すために、アルコールや過食に依存してしまう場合もあるでしょう。

もし、わがままを言う人があなたの大切な人だったとしたら、相手の劣等感に関連する領域は大切に扱うことです。そして、ポジティブな特性を見つけて褒めること、相手の自尊心を高めていくことが必要でしょう。

もし、自分自身がわがままを言ってしまうことが多く、自分を変えたいのなら、自分の劣等感に目を向けてみましょう。それは、どのような起源があるのでしょうか。もしかしたら、劣等感の起源は、子供の頃に大切な人からの批判されていたことかもしれません。何の影響を受けているのか気づくこと、そして自分そのものを受け入れることが大切です。傷つきが大きい場合は、自分一人の力では対処できないことがあります。しかし、誰かを頼ろうと思っても、傷つきが大きいほど、人に頼ることに抵抗が生まれます。知り合いを頼りづらい時こそ、医療機関やカウンセリング機関など、専門家を頼ることをお勧めします。

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石上友梨

石上友梨

大学・大学院と心理学を学び、心理職公務員として経験を積む中で、身体にもアプローチする方法を取り入れたいと思い、ヨガや瞑想を学ぶため留学。帰国後は、医療機関、教育機関等で発達障害や愛着障害の方を中心に認知行動療法やスキーマ療法等のカウンセリングを行いながら、マインドフルネスやヨガクラスの主催、ライターとして活動している。著書に『仕事・人間関係がラクになる「生きづらさの根っこ」の癒し方: セルフ・コンパッション42のワーク』(大和出版)がある。



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