米TikTokerレミ・ベイダーが語る摂食障害への誤解「ストレスの反動で食べているわけじゃない」

 米TikTokerレミ・ベイダーが語る摂食障害への誤解「ストレスの反動で食べているわけじゃない」
Getty Images
長坂陽子
長坂陽子
2022-06-25

コロナ禍のストレスで摂食障害に苦しむ人が世界中で増えているという。拒食症や過食症だけでなく「ドカ食い」と呼ばれる習慣も摂食障害に含まれることを、あるSNSのインフルエンサーが訴えアメリカで注目を集めている。

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声を上げたのはTikTokでアメリカの若者の間で人気を集めるレミ・ベイダー。210万人を超えるフォロワーを有し、プラスサイズモデルとしても活躍している。TikTokでは自分の日常生活やファッション、メイクなどを紹介する動画を披露している。

彼女が先週動画で自分が摂食障害の治療を受けていることを明かした。彼女の障害はいわゆる「ドカ食い」。「この1年半、私はとても幸せだった。(TikTokが)私の仕事だ、これが私の人生だと感じるほどだった。毎日やっていることをとても楽しんでいた」と語る。しかしこの数か月、自分に対して自信が持てずに苦しんでいたという。「自分の体型、自分自身への劣等感がどんどんひどくなっていった。自信もなくなっていった。それがドカ食いを引き起こした。よくなったり悪くなったりする状態が続いていたけれど、結局まったく改善されていなかった」。TikTokのためにカメラに向かっているときは幸せで満ち足りた気持ちでも、1人になると自己嫌悪に陥っていたとも。「私は1人でいるときに満たされた気持ちでいるべき。他の人の評価やTikTokを通して自分がどう見えるのか、それに左右されるべきではない」。

どうにかしなくてはいけないと思った彼女は専門家に助けを求めた。6週間にわたって週に数回、1回数時間のセラピーを受けるプログラムを始めたという。「治療施設で食事をして、セラピーには全部参加する」とレミ。治療が終わったときには「自己嫌悪の気持ちを持つことなくポジティブな感想を語り、学んだことをみんなにシェアできるようになっていたい」と話している。

「ドカ食い」が摂食障害の1つであり、治療しなくてはいけない症状だという意識はまだあまり浸透していないという。ミネソタ州にある有名病院メイヨークリニックによるとドカ食いは「普通ではない量の食べ物を食べ、止められなくなってしまう症状」。この症状はおそらくみんな知っているが、最大の特徴は「過食症の人のように食べ終わったり吐いたり、下剤を飲んだり、強迫症的なエクササイズをしたりして摂取したカロリーを消費しようとはしない」ことだと指摘する。

たとえば食べた後に吐いたり大量に下剤を飲んだりしていたら自分でも「これは普通ではない」「何らかの障害だ」とわかる。でもドカ食いだけだと「ストレス発散のために食べてしまった」「食べ始めたら止まらなくなってしまった」とだけ考える。そして病気だという認識がないままダイエットをする。食べることを我慢すると反動でドカ食いしてしまい、さらに症状が悪化していく悪循環に陥るという。

日本でもこのドカ食いが習慣になっている人が増えている。特に夕食後にお腹が空いていないのに食べたい欲求が抑えられずスナック菓子やスイーツ、インスタント食品を食べる「夜食症候群」の人が目立つという。女性だけでなく30代から40代の男性にも多く見られる。ある専門家によると日本の場合もアメリカと同様、ドカ食いが体に悪いことだとはわかっているが障害や病気だとは思っていない人が多い。これが普通ではない、障害だと気づくことが治療への第一歩だとも。

レミの今回の告白はアメリカ人たちに気づくきっかけを与えたと言える。治療を終えた彼女がどのようなフィードバックを報告してくれるのか注目が集まっている。

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長坂陽子

長坂陽子

ライター&翻訳者。ハリウッド女優、シンガーからロイヤルファミリー、アメリカ政治界注目の女性政治家まで世界のセレブの動向を追う。女性をエンパワメントしてくれるセレブが特に好き。著書に「Be yourself あなたのままでいられる80の言葉」(メディアソフト)など。



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