【更年期と閉経】更年期になると、月経(生理)の周期や量はどんなふうに変化していくの?

 【更年期と閉経】更年期になると、月経(生理)の周期や量はどんなふうに変化していくの?
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増田美加
増田美加
2021-07-03

“健やかで美しい体と心”を手に入れるための最新情報を女性医療ジャーナリストの増田美加がお届けします。 生理が終わりに近づくサインは、人によって大きく異なります。閉経は、45歳以上で1年間、生理の出血がない状態です。でも、生理の出血が完全になくなる前に、40代になると、生理期間の乱れや出血に変化が生じます。注意したいのは、更年期の生理不順かと思ったら、病気が隠れていたり、出血が不正出血だったりということもあります。40代から閉経に向かうときの生理の変化と生理不順についてお伝えします。

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更年期の生理が乱れるわけは?

更年期になると、どのような生理(月経)周期のリズムの乱れが起こるのか、不安だと思います。生理周期の乱れは、卵巣機能が衰え始めれば、すべての人に必ず起こります。でも、どのように生理周期が変化するかは、個人差があります。月経異常、月経不順の起こり方も千差万別なのです。

とはいっても、ある一定の順序はあります。それは、卵巣から分泌される女性ホルモンの減り方です。

生理
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約500万個あった卵が、閉経するとたった1000個!

卵巣の中にある原始卵胞は、産まれてから毎年減っていきます。この減り方はひとりひとり異なり、産まれる前の胎児のときにすでに決まっていると言われています。

お母さんのおなかの中にいるときの赤ちゃんは、卵巣に原始卵胞を500〜700万個持っています。しかし、生まれたときには、それが200万個まで減っています。

その後も年齢が上がるとともに原始卵胞の数は減っていき、思春期の初めころにはおよそ20万~50万個になっています。

思春期以降は、排卵や生理の有無に関係なく、1か月に約1000個ずつ原始卵胞が減っていき、35歳のときにはおよそ1〜3万個まで減少しています。これは、生まれたときの約1〜2%しかない数です。そして、閉経時期の50~51歳までには、1000個程度にまで減少し、卵巣機能もほぼ終わるのです。

このような卵巣機能の低下により、更年期には卵巣から分泌されるエストロゲン(卵胞ホルモン)やプロゲステロン(黄体ホルモン)の量も減り、生理が乱れます。

女性ホルモン
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脳が頑張っても、卵巣から女性ホルモンは分泌されない…

女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンは、卵巣から分泌されますが、卵巣は脳からの指令でコントロールされています。

更年期には、卵巣からの女性ホルモン(エストロゲン、プロゲステロン)が減ると、脳はそれを感知し、焦って卵巣に「ホルモンを分泌しなさい!」と脳の視床下部⇒脳下垂体からホルモン(卵胞刺激ホルモン=FSH、黄体形成ホルモン=LH)を分泌させ、指令を出します。

けれども、更年期で卵巣機能が衰えて、卵胞の老化、減少が進んでいると、脳がいくら頑張って、FSHやLHの分泌を増加させても、残念ながら卵巣から女性ホルモンは、分泌されないのです。

生理の乱れが自律神経の不調に関係

このように、ホルモンバランスが崩れると、脳は混乱します。自律神経系(体温コントロールにも関係)に乱れを起こし、ほてり、発汗、冷え、めまい、不眠、うつなど、更年期の不調につながります。これが更年期症状の一部です。

最終的には、脳からのホルモンも、卵巣からのホルモンも低下。ほとんど分泌されなくなり、生理の出血がなくなって、閉経します。

少量のエストロゲンは、閉経後も脂肪組織などから分泌されていると言われていますがこれは極めて少量で、壮年期に男性から分泌されるエストロゲンよりも少ない量なのです。

閉経までの生理のパターンは?

この女性ホルモンの分泌が減少していく過程で、生理(月経)は、周期や出血量(経血量)などがさまざまに変化して、閉経へと向かいます。

まず、閉経までの生理の変化の典型例を紹介します。1~5の順に生理が変化することが多いですが、すべての女性がこの順序で進むわけではありません。

1 正常な生理

正常な生理(月経)の条件は、

  ① 自然に始まる(ホルモン剤や低用量ピルなどを服用して起こる出血は、生理ではありません)。

  ② 生理の開始日から次の生理の開始の前の日までの日数は25~38日。長い周期と短い周期との差が6日以内です。

たとえば、ほとんど毎月の生理周期は35日なのに、ときに27日で生理が来ることがあるとすれば、正常とはいえません。

  ③ 生理が続く日数は3~7日です。

  ④ 生理は自然に終わる。

生理
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2 生理周期が短くなるパターン

更年期の生理の変化は、周期が短くなる(頻発月経)ことから始まることが比較的よくあります。たとえば、今まで30日周期だったのが、22~23日周期などと短くなります。同時に生理の出血量(経血量)が少なくなり、生理が続く日数も短くなります。

生理周期が短くなる理由は、

 ① 卵巣機能が低下し、原始卵胞の数が減ると、エストロゲンの分泌量が減ります。そのため、脳は視床下部、下垂体からFSH(卵胞刺激ホルモン)を多く分泌します。

 ② すると卵巣は一時的に刺激され、卵胞の発育が短期間に進みます(卵胞期短縮)。そのため生理から排卵までの期間が短くなり、基礎体温の低温期(卵胞期)が短くなります。しかし、排卵後の高温期(黄体期)は、この段階では変わりません。

生理から排卵までの期間が短くなるから、生理周期が短くなるのです。

この時期には、まだ排卵している可能性があります。妊娠を望まない場合は、避妊が必要です。ただし、極端に短い周期(15~19日など)で生理が来る(頻発月経)場合は、排卵していないことが多いと言われています。

3 生理期間がダラダラと長く続くパターン

さらに卵巣機能が低下していくと、ホルモンバランスが崩れて、生理周期が長短にかかわらず、生理(出血)期間が8日以上続くということが起こってきます。過長月経と呼ばれています。

長い人になると、2週間~1か月も出血が続く人がいます。

プロゲステロンの分泌量が減り、エストロゲンだけが少量分泌され、子宮内膜ができても内膜が厚くならないうちに、すぐに剥がれてしまうので、生理は排卵のない「機能性出血」のことが多いのです。

多くの場合、排卵はありませんが、たまに排卵している場合もあり、どちらとも断定できない状態です。

「機能性出血」は、更年期世代が閉経に向かう過程でもあります。しかし、若い世代の場合は、ストレスや生活習慣によるホルモンバランスの乱れで起こることが多いので注意が必要です。

4 生理周期が長くなるパターン

生理周期が39日以上と長くなり、2か月に1回程度しか出血しないときもあります(稀発月経)。卵巣機能がかなり衰えた状態です。

でも「更年期だから…」と自己判断は禁物です。何かの病気(たとえば子宮体がんなど)が隠れていることによる不正出血の可能性もあります。

5 閉経

最終の生理開始日から1年経っても生理がない場合は、閉経と診断されます。

この順序には、個人差があります。2⇒3⇒2⇒4⇒5 などのように行きつ戻りつ、閉経する人もいますし、 2⇒5だったり、4⇒5 といきなり閉経する人もいるのです。

更年期だから…と決めつけないで! 

更年期世代は、隠れた病気による不正出血と、生理的な生理(月経)の乱れの区別がつきにくい時期です。年1回は婦人科で、子宮や卵巣を経腟超音波検査などでチェックすることをおすすめします。

出血が長引く場合は、子宮筋腫、子宮内膜症、子宮体がん、子宮頸管ポリープなどの病気が隠れていることもあります。また、周期が短い生理が長期間続くと、貧血になっている可能性がありますので、注意が必要です。

人生100年時代。更年期の変化をこれから40年先、50年先まで楽しく、健やかに生きるためのいいきっかけにしてください!

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増田美加

増田美加

増田美加・女性医療ジャーナリスト。予防医療の視点から女性のヘルスケア、エイジングケアの執筆、講演を行う。乳がんサバイバーでもあり、さまざまながん啓発活動を展開。著書に『医者に手抜きされて死なないための 患者力』(講談社)、『女性ホルモンパワー』(だいわ文庫)ほか多数。NPO法人みんなの漢方理事長。NPO法人乳がん画像診断ネットワーク副理事長。NPO法人女性医療ネットワーク理事。NPO法人日本医学ジャーナリスト協会会員。 新刊『もう我慢しない! おしもの悩み 40代からの女の選択』(オークラ出版)が話題。 もう我慢しない! おしもの悩み 40代からの女の選択 | 増田美加 |本 | 通販 | Amazon



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