「インドなんて大嫌い!」だった私が"インドOL系YouTuber"として発信するようになった理由

 「インドなんて大嫌い!」だった私が"インドOL系YouTuber"として発信するようになった理由
中谷秋絵 あぬ
中谷秋絵
2023-02-27

インド研究家でライターの中谷秋絵さんによる連載「インドに学ぶ人生ハック」。今回は、youtubeでインドのリアルを発信する"インドOL系Youtuber"の中村ゆりさんにインタビューしました。

広告

インド在住の中村ゆりさんは「インドOL系YouTuber」として活躍、テレビ番組でのリポーターもこなすなど、インド情報の発信を精力的に行っています。しかし、今でこそインドの魅力を伝えている中村さんですが、最初は「インドなんて大嫌い!」と思っていたそうです。

そんな中村さんがなぜインドに住むことになったのか、どのようにして心境が変化していったのか、中村さんが思うインドの魅力などについて聞きました。

はじめてのインド「早く日本に帰りたい。二度と来るもんか!」

ーー現在はインドの都市グルガオン(首都ニューデリーの近郊)に住まれて6年目とのことですが、はじめてインドに行ったきっかけは、なんだったのでしょうか?

中村さん:きっかけは当時付き合っていた彼(現夫)がインド旅行に行こうと言い出したことです。実は、夫は以前から海外で起業をすることを考えていて、私には「旅行」と言っていたけれど、彼自身は「視察」のつもりだったんじゃないかなと思います。

私はそんなことは知らずにただの旅行として1週間ほど観光地を巡りました。でも、このときの印象が最悪で。

今までに経験したことのないひどい大気汚染や、一歩外に出ると寄ってくる物乞いの子どもたち……。笑顔で近寄ってくる子どもが「怖い」と感じました。それで「早くバスに乗ってホテルに帰りたい」と思ってしまって。

はじめてのインド旅行
はじめてのインド旅行

ーー確かに、インドの観光地に行くと最初はびっくりしますよね。物乞いや客寄せなどいろんな人に囲まれるし、それは確かに怖いですよね。

中村さん:そうなんです。でも、ホテルに帰ってもバスタブからは茶色い水が出るし、食事も日本で食べていたカレーとは違うし、とにかくなにもかもが受け入れられませんでした。私自身、インドのネガティブなイメージのフィルターがかかっていたと思います。

私はこのとき「二度とインドに来るもんか」と思ったんですけど、夫は真逆でインドで起業する決意を固めていたみたいなんです。

私たちは長く遠距離恋愛をしていて、私は彼が起業の準備をしていることを知らず、彼はこの後何度もインドに行ってリサーチしていました。そして初インドから約2年後に「インドで起業する」と告げられました。

「インド大嫌い」から、インドに住むことを決意

ーーインドで起業すると言われて、中村さんはどう反応したんですか?

中村さん:実はこのとき、彼の転勤が決まってやっと一緒に暮らし始めて半年というタイミングでした。だからインドに嫉妬しましたね。「私とインド、どっちが大事なの!」って(笑)

それからはインドに関することも話したくないし、カレーも食べたくない。テレビでインドに関することをやっていたらチャンネルを変える。それくらいインドのすべてを拒否していました。

ーーそれはすごい拒絶反応ですね。そんな中村さんを見て、彼はどうしたんですか?

中村さん:そうは言っても、一度言い出したら聞かない人なのはわかっていました。私も「今までの遠距離恋愛の距離が伸びるだけ」くらいに考えていましたね。2017年に彼はインドへ渡りましたが、このとき私はインドに行く気なんてまったくありませんでした。

でも、彼がインドへ行ってから電話などでやり取りすると、すごく生き生きしていて。今まで7~8年付き合ってきたけど、こんな彼の姿は見たことないっていうくらいでした。そのとき「彼をこんなふうに変えてしまうインドってどんなところなんだろう」とはじめてインドをポジティブに感じたんです。

そして連休を利用して、また1週間ほどインドに行ってみることにしました。前回は観光地を巡ったけれど、今回は彼のビジネス関係者に会ったり、生活を見たりしました。すると、前回は「最悪だ」と感じた印象が変わったんです。彼と一緒に働くインド人もすごく生き生きしているように見えました。

都市グルガオンのオフィスビル群
都市グルガオンのオフィスビル群

中村さん:でも、彼は楽しそうだったとはいえ、やはり異国の地で会社を経営することは大変そうでした。私も、インドのことを100%ポジティブに考えられたわけではないけれど、「近くでサポートしたい」と思い、インドに住むことを決意したんです。私は日本では人材業界で働いていたのですが、幸いインドでも同じ業界で転職先が見つかり、インドに行ってから割と早く仕事を始められました。

ーー「嫌い」と思っていたインドに住もうとまで思えたのはすごい変化ですね!実際に住み始めてからはスムーズに馴染めたんですか?

中村さん:全然そんなことなくて、すごく大変でした(笑)はじめは外に出ることすら怖くて「今日は1メートル先に進む」と目標を立てて、それこそ赤ちゃんのように一歩ずつ前に進むみたいな感じでしたね。

私はもともと留学経験があったわけでも外資系で働いていたわけでもないし、英語も全然できなくて言語の面でも苦労しました。インド人ばかりの職場だったので、当然英語を使わないといけないんですが、家に帰ってから毎日泣きながら勉強していましたね。

首都ニューデリーの買い物スポット
首都ニューデリーの買い物スポット

ーーそんな大変な状況から、どうやって仕事や生活に慣れていったんですか?

中村さん:大変だったけど、とにかく周りのインド人に助けられました。彼らは「できない部分」より「できる部分」を見てフォローしてくれるんです。インドに来たばかりで、英語もできない赤ちゃんみたいな私を、やさしく受け入れてくれたことには感謝しかありません。インド人の同僚や友人たちのおかげです。

「インドOL系YouTuber」としてインドのリアルを発信する

ーーはじめはインドが嫌いだった中村さんですが、今では「インドOL系YouTuber」としてチャンネル登録者数も1万人を超え、活躍されていますよね。YouTubeはどうして始めようと思ったんですか?

中村さん:インドに住んでしばらくたってから「どうしてあんなにインドを毛嫌いしていたんだろう?」と改めて考えてみました。インドに関する情報が、治安問題や貧困問題など偏りがあるものが取り上げられやすいことが影響していたのではないかと感じました。そうした面があるもの事実ではあるものの、それが100%ではない。そうした社会問題ばかりが強調されていることに疑問を持ちました。

また、当時は、インド現地からリアルな情報を発信している人も少ないように感じたので、インドに住んでいる私だからこそお届けできることがあるんじゃないかと思って。インドに興味を持ってもらったり、これからインドに来る人が少しでも不安を軽減できたりするようなものを届けたいと思い、まずはブログを始めました。

その後、夫から「YouTube向いてるんじゃない?」と言われ、「発信方法をひとつ増やす」くらいの感覚でYouTubeにも挑戦してみました。

 

インド人と日本人、こんなに違う

ーーインドに住んでみてインド人の特徴、よい面も悪い面も、どのように感じますか?

中村さん:まず仕事をしていて感じることは、日本人とインド人ではベースがまったく違うことです。例えば「プレゼン用意して」と言って日本人だったらきっちりしたものを仕上げてくるのに対して、インド人は「あれ?これだけ?」みたいなことも多いですね。

お互いの感覚が違うので、共通認識をきちんと書き出して、丁寧にすり合わせることから始めないといけないなと思います。最初はこの感覚のズレに結構苦労しましたね。

でも、インド人は瞬発力がすごくて。日本人だったら失敗して落ち込むような場面でも「よし、これはダメだったから、じゃあ次はこの案でやってみよう」とすぐに修正してきます。どんなときも冷静で、臨機応変に対応できるんです。ディスカッションで白熱しすぎて、喧嘩しそうになった後でも、すぐに切り替えて「チャイ飲んで休憩しよ」とケロッとしています。後に引きずらないんですよね。

中村さんとインド人の同僚たち
中村さんとインド人の同僚たち

ーーインド人の切り替えの早さは見習いたいものですね。生活面ではいかがですか?

中村さん:遠慮がなく自分の欲求に純粋な人が多いですね。時々カフェで仕事することもあるんですが、日本だったら「仕事中に話しかけちゃいけないかな」と遠慮するじゃないですか。でも、彼らは「どこから来たんだ」「なんの仕事をしているんだ」って、遠慮なく話しかけてきます。

「なんでそんなに遠慮しないで話しかけてくるの?」とインド人の友人に聞いたことがあります。すると「話しかけて、相手が嫌だったら断ってくるでしょ」という答えが返ってきました。

ーー「どんなときでも自分で決める」というベースがあるんでしょうね。

中村さん:そうなんです。だからこそシンプルに「興味のあることを知りたい」という行動になるんでしょうね。

また、インド人は家族をすごく大切にします。会社に着いてからも奥さんや恋人に電話してる人もいて。本当はダメなんですけど(笑)、でも彼らは「うちの妻・夫は素晴らしいんだ!」と愛情表現もオープンです。そんな彼らを見ていて、私も夫に「愛してる」とよく言うようになりました。以前よりもさらに、自分らしく生きられるようになった気がします。

ーーそれはすごく素敵ですね!最後に、中村さんの今後の目標を教えてください。

中村さん:仕事面ではある目標があって、そこに向かってもっと成長していきたいですね。そしてプライベートでは母になることが目標の一つでもあります。インドの多様な環境で子育てをしたらどうなるんだろうと思うとワクワクします。私は「仕事は自己表現の一つ」だと思っていて今とても充実していますが、今後は仕事もプライベートも一層充実させていきたいと思っています。

【プロフィール】中村ゆりさん

中村さん

1989年生まれ、山口県出身。大学卒業後、新卒で携帯コンテンツ事業会社に入社。美容専門ECサイトのバイヤーをはじめ、マーケティングや営業など幅広い業務を担当した。約6年間の勤務後、主婦に特化した人材派遣会社で広報・ブランディング担当として従事。2018年に夫の起業を機にインドへ移住。日本で培った人材業界での経験を活かし、インドに特化した独立系人材紹介会社にてジャパンデスクマネージャーとして従事した。2022年現在、起業準備中。

YouTube:https://www.youtube.com/@Yuri_India_olyoutuber
ブログ:https://yurindia.com/

広告

AUTHOR

中谷秋絵 あぬ

中谷秋絵

インド研究家×ライター。自己肯定感激低の状態でインドに渡航し、インドの人々の温かさ寛容さで救われる。インド滞在経験2年、現地の日系旅行会社に勤めた経験あり。現在はフリーライターとしてインタビューを中心に活動中。電子書籍『どんなに自己肯定感が低くても生きやすくなるすごいインド思考術』でAmazonランキング1位・ベストセラーを達成。ダンサーとしてインドのボリウッドダンスも踊っている。



RELATED関連記事

Galleryこの記事の画像/動画一覧

はじめてのインド旅行
都市グルガオンのオフィスビル群
首都ニューデリーの買い物スポット
中村さんとインド人の同僚たち
中村さん
「インドなんて大嫌い!」だった私が"インドOL系YouTuber"として発信するようになった理由