【更年期障害の原因とメカニズム】予防もできる?!「女性ホルモンのゆらぎ」更年期の乗り越え方

 【更年期障害の原因とメカニズム】予防もできる?!「女性ホルモンのゆらぎ」更年期の乗り越え方
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増田美加
増田美加
2021-06-04

“健やかで美しい体と心”を手に入れるための最新情報を女性医療ジャーナリストの増田美加がお届けします。「更年期は、つらい症状に襲われる!」「怖い! どうしたら?」と不安に感じている女性が多いと思います。でも、「更年期とは何か?」を正しく知っていれば、怖くありません! つらさを感じずに乗り越えることもできますし、予防することも可能です。更年期障害の原因やメカニズムを知って、不安を払拭しましょう。

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更年期は、女性ホルモンが減り始める“ゆらぎ世代”です

更年期は、女性としての人生のステージで、どのあたりにあたるのかをまず知っておくことが大事です。そして、プレ更年期、更年期ってなんなのでしょうか? これを知っておくと、プレ更年期、更年期の症状や対策についてより理解できます。

女性としての体の働きができあがり、女性ホルモンの働きが活発になって、妊娠、出産にふさわしい時期は、性成熟期といいます。性成熟期が終わると、だんだんと女性ホルモンの働きが衰え、生理が止まり閉経する時期に入ります。これが更年期です。

女性ホルモンの分泌が低下し、閉経を迎える45歳から55歳を「メノポーズ(更年期)世代」と呼びます。閉経の平均が50.5歳。その前後、5年間、合計10年間を更年期と呼ぶのです。

また、最近、この女性ホルモンの変化の中で、性成熟期から更年期に向かう間を“プレ更年期”と呼ぶ人もいます。医学的な分類ではありませんが、40代前半でも、早く更年期と同じ症状を感じるという女性たちがいるため、プレ更年期という言葉が使われるようになりました。

女性ホルモンは45歳ころから急激に減少。でも男性は…

20代、30代は、女性ホルモン(エストロゲン)のピークの時期。そのあと、40代半ばから急激に坂道を転げ落ちるように、女性ホルモンの分泌が減ってきて、ほぼゼロになっていく…。このゆらぎの時期が更年期なのです。でも、男性の男性ホルモン(テストステロン)は、女性のような急激に減少する時期はありません。徐々にゆっくりと減少します。

ですから、男性には、更年期障害はほとんどありません。もちろん、男性ホルモンも徐々に減少するので、男性にも50代後半あたりから不調を感じて、それを「男性更年期」と呼ぶ人もいます。

エストロゲン
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女性のライフサイクルが大きく変わった! だから起こること

女性の一生の中で、女性ホルモンの変化は、今も昔も大きく変わらず、閉経は50.5歳。しかし、とても大きく変わってきたものがあります。それは、女性のライフサイクルです。まず、とても長寿になりました。昔は、閉経するころに人生が終わり、寿命50歳でした。戦後、女性のライフスタイルがすっかり変わり、栄養と衛生状態がよくなり、今は世界でもいちばんの長寿国です。

日本女性の平均寿命は87歳を超えています。高学歴になり、仕事をもつようにもなりました。また、妊娠、出産回数が減ったことで、生理の回数が多くなりました。それによる病気や不調も増えています。しかし、女性ホルモンの変化は、今も昔も変わりません。

こうしてみると、閉経後に女性の長い人生があることがわかります。女性ホルモンの分泌が減少する閉経の時期は、45歳から55歳くらいまで。平均が50.5歳です。長い女性の人生のおよそ半分。大人になってからの折り返し地点が更年期、そして閉経なのです。

更年期は人生の真ん中! 更年期対策で人生の後半戦をハッピーに

更年期からがまだまだ人生の長い道のりです。だからこそ、更年期の対策が大事。人生の後半戦をどう生きるかに大きくかかわってきます。

【昔と今の女性のライフスタイルの変化】

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昔と今の女性のライフスタイルの変化

昔の女性は女性ホルモンが減少し、閉経する(哺乳類としての役目を終える)とともに亡くなっていました。ほとんどの哺乳類は、閉経とともに亡くなります。

しかし、現代女性は、閉経で女性ホルモンがほぼなくなって哺乳類(生物)としての役目を終えたあと、40年近く生きるのです。ここからが女性ホルモンの波に左右されずに、体調が安定して過ごせるハッピーな時期。人生を楽しみましょう!

更年期症状は、ホルモン補充療法や漢方薬で改善できます!

女性ホルモンのエストロゲンは、女性らしい体つきをつくるのが大きな役目で、みずみずしい肌を保てるのも、エストロゲンのおかげです。エストロゲンが適度に分泌されていないと、肌が乾燥したり、肌荒れになったり、くすみ、しみ、しわの原因にもなります。

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卵巣に「女性ホルモンを出せ」と指令を出すのは、脳の視床下部、下垂体。この視床下部には、自律神経をコントロールする中枢があります。そのため、女性ホルモンの分泌のリズムが変動して大きく変化すると、近所にある自律神経の中枢も影響を受けます。

自律神経のバランスが崩れやすくなり、倦怠感、頭痛、めまい、肩こり、ドキドキ、息切れ、のぼせ、ほてり、冷え、イライラ、憂うつ、不眠などの自律神経失調症の症状が出やすくなるのです。

これが、更年期の比較的初期やプレ更年期に起こりやすい不調の正体です。また、性交痛や腟炎、尿もれなどの不調も出始めます。これらの不調は、エストロゲンの恩恵を受けていた皮膚や粘膜の老化によって起こってきます。

そのため、これらの不調は更年期を過ぎても続きますが、ホルモン補充療法(HRT)や漢方療法、その他の治療法で、症状を緩和することができます。エストロゲンの減少は、体の自然な変化ですが、婦人科で治療もできます。大きな不安に感じることはありません。

最初は急激に減少するので、体の急激な変化に驚くかもしれません。でも慣れてくれば、ちょうどいい感じに、仲良くつき合っていけます。

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増田美加

増田美加

増田美加・女性医療ジャーナリスト。予防医療の視点から女性のヘルスケア、エイジングケアの執筆、講演を行う。乳がんサバイバーでもあり、さまざまながん啓発活動を展開。著書に『医者に手抜きされて死なないための 患者力』(講談社)、『女性ホルモンパワー』(だいわ文庫)ほか多数。NPO法人みんなの漢方理事長。NPO法人乳がん画像診断ネットワーク副理事長。NPO法人女性医療ネットワーク理事。NPO法人日本医学ジャーナリスト協会会員。 新刊『もう我慢しない! おしもの悩み 40代からの女の選択』(オークラ出版)が話題。 もう我慢しない! おしもの悩み 40代からの女の選択 | 増田美加 |本 | 通販 | Amazon



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