不安で眠れない時に行うべきたったひとつの行動とは|格闘技ドクターが指導する「睡眠」

 不安で眠れない時に行うべきたったひとつの行動とは|格闘技ドクターが指導する「睡眠」
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現役スポーツドクターで格闘家やアスリートのサポートも担当する二重作拓也先生による連載。トップアスリートたちが当たり前のように行う習慣から、私たちが取り入られることを教えていただきます。今回は、眠りたいけど眠れないという状況を打破するのに役立つ意外な方法を教えていただきました。

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不安で眠れないときは「感謝の気持ち」に意識をシフトさせる

強いストレスを抱えていると眠りが浅くなることがあります。世界大会やオリンピック出場がかかった試合を控えた選手であればそのプレッシャーはなおさらでしょう。会社勤めをしていても、大事なプレゼンなどを前に緊張してなかなか寝つけないことがあるのでは。さらに「どうせ眠れないし」と、つい部屋の明かりをつけたままにしてしまったり、スマホやTVの画面をつけたままに明るい状態にして気を紛らわそうとすることはないでしょうか?

そんな時は、まずは照明を消して横になる、つまり「休息できる状態に体を導く」ことが大切です。私たちの脳は、身体の外部からの情報と身体の内部からの情報を受け取っています。そのうち視覚からの情報は身体外部からの情報の約80%を占めるとも言われており、光をシャットダウンすることでそれらの睡眠を妨げる情報を遮断するのです。そして、横になることで筋肉や腱、関節などを含めた身体内部からの情報が感覚神経を通じて脳に届きます。脳が「横になって眠る体勢になった」がことを察知するというわけですね。

これ「やる気スイッチ」に近いのです。練習にしても、仕事にしても、日々の日課にしても、「どうもやる気がしない」ときは「とりあえずやってみる」ことで脳がそうなっていくことが経験されますが、「入眠に向かう」というのもひとつの行動ですから、「絶対眠るぞ」「眠らなきゃヤバい」なんて気負うことなく、入眠に向かって環境と自分の身体を整える作業を「淡々と」行うことが大切です。

そして、「負けたらどうしよう」「失敗するかもしれない」とネガティブ思考に支配されると「脳に良くない記憶を定着させてしまう」ことになります。嬉しかった想い出や、安心できる想い出、未来への希望などをリストアップして「ポジティヴな記憶」を脳内で再生することをおすすめします。睡眠は「記憶を脳の大脳皮質に定着させる」作用があるため、不安なまま入眠したり、怒られたまま入眠したりすると、その記憶が自分の思考を形作ってしまうからです。

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Text by Ai Kitabayashi



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