自律神経の乱れ、免疫力の低下…を解消 50歳からの腸を整えるヨガと食

 自律神経の乱れ、免疫力の低下…を解消 50歳からの腸を整えるヨガと食
Shoko Matsuhashi

50歳を過ぎた頃から以前に比べて腸に不調を感じやすく、気持ちも沈みがちに……。そんな不快な症状を解消し、腸の健康を守る方法をドクター、ヨガインストラクターが伝授。腸を健やかに保つと毎日をポジティブに過ごせます!

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腸には免疫細胞が集中 自律神経のバランスが大事

腸の働きは食べ物の消化、吸収、排泄が主ですが、免疫機能という大事な役目もあります。 
「腸には、人間の体の免疫細胞の約7割が集中するといわれ、異物や病原菌が侵入すると免疫機能が働いて、病気から体を守ってくれます。ただし、腸内環境が悪いと免疫機能が正しく働かないため、腸をよい状態に保つことが大切です」と小林暁子先生。
「腸の免疫機能は自律神経と深く関係します。免疫の中心を担っているのは白血球。この白血球には顆粒球とリンパ球があり、交感神経優位のときに顆粒球、副交感神経優位のときにリンパ球が増加。自律神経のバランスがいいと白血球のバランスもよく、免疫力を高めます。また、腸の動きを左右するのも自律神経で、胃と腸は副交感神経の働きで収縮し、排泄が促されます。ただ、加齢とともに腸内環境や、自律神経が低下するため50歳頃からは食事や生活に気をつけ、穏やかに動くヨガなどを習慣にし、自ら調整することが健康の秘訣です」。  
脳と腸は自律神経でつながり、腸は第二の脳とも言われています。腸内環境を整えるQ&Aやヨガワークを参考に、美腸を保って。

さまざまな不調は腸内環境の乱れが原因です

不調は腸の働きの低下によるものかも。下のチェックリストに該当する項目がある場合は悪玉菌が増殖している可能性があります。

Check!
□食べる量や運動量が変わらないのに太りやすくなった
□むくみやすい
□風邪など感染症によくかかる
□手足が冷えたり肩がこりやすい
□イライラしたり落ち込んだり気持ちが落ち着かず眠りの質もあまりよくない

50歳からの腸を整えるヨガと食
photo by Shoko Matsuhashi

Q.朝の排便を促すためにどんな生活習慣がよい?

A.自律神経を整え、腸の蠕動運動を促す習慣を

「朝起きたら、コップ1杯の水を飲み、朝日を浴びましょう。水を飲むことで胃と大腸の結腸部に反射が起こり、腸が動き出して自然な便意を促します。また、朝日を浴びると体内時計がリセットされ、自律神経が安定。朝は朝食を摂ることも忘れずに。朝食を摂ると排便を促す副交感神経が優位になり、腸の働きが活発になります。食後は便意がなくてもトイレに行くことを習慣に。朝の排便を促すには良質な睡眠も大切です。就寝前はヨガやストレッチで体をほぐしたり、ぬるめのお湯に浸かると血流がよくなり、眠りがスムーズに。反対に避けたいのがTVやスマートフォンなどの強い光を就寝前に見ること。脳が興奮し、睡眠を妨げます。できたら瞑想や1:2呼吸(4秒で吸って8秒で吐く)も行いましょう」

Q.50歳以降になると便秘になりやすい? 

A.更年期世代は交感神経が高まり、便秘がちに 

「50歳前後になると、女性は女性ホルモンのエストロゲンの分泌量が急激に低下し、月経不順や閉経を迎えます。女性ホルモンを司る視床下部は自律神経の中枢でもあるため、ホルモンバランスが乱れると自律神経にも影響し、交感神経が過度に働くように。その結果、消化器全体、特に腸の蠕動運動が弱くなり、便秘に悩む人が増える傾向があります」

Q.おならが頻繁に出るのはOK?

A.臭いがキツいおならが頻繁に出るのは要注意 

「おならが出ること自体は、悪いことではありません。腸内細菌の善玉菌が腸内で食物繊維などを発酵して生じる、よいガスもあります。気をつけたいのは、臭いがキツいおならが頻繁に出ること。腸内環境が悪化している可能性があるので、食事や適度な運動を心掛け、腸内環境を整えましょう」

Q.腸内環境を整えてくれる食べ物は?

A.食物繊維と発酵食品が腸を整える代表食材 

「善玉菌を増やす食物繊維と乳酸菌を多く含む発酵食品を積極的に摂ると腸内環境が整えられます。食物繊維には水に溶ける水溶性と水に溶けない不溶性の2種類があり、便秘がちな人は水溶性8:不溶性2、時々便秘をする人は水溶性6~7:不溶性3~4の割合で摂るのがベター」

水溶性食物繊維
オクラ、海藻、もち麦などに多く含まれる。水分を増やして便を柔らかくする働きがあり、慢性便秘の改善に。

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不溶性食物繊維
しいたけ、きなこなどに多く含まれる。便のかさを増し、腸を刺激して蠕動運動を活発にすることで排便を促す。

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発酵食品
納豆、甘酒、ぬか漬けなど日本伝統の発酵食品には植物性乳酸菌や酵母が多く、善玉菌の増殖を助ける。

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お話を伺ったのは…小林メディカルクリニック東京 小林暁子先生
小林メディカルクリニック東京院長。便秘外来・内科・皮膚科・女性専門外来など全身の不調に対応、延べ20万人以上の便秘患者の治療に携わる。著書に『医者が教える最高の美肌術』(アスコム)。

※表示価格は記事執筆時点の価格です。現在の価格については各サイトでご確認ください。

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photos by Shoko Matsuhashi 
model by Mika Hirose
hair&make-up by Rika Imazeki(P-cott)
text by Minako Noguchi
yoga Journal日本版Vol.70掲載



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