コロナ第二波の到来?いま私たちに求められるマインドとは|臨床心理士が解説

 コロナ第二波の到来?いま私たちに求められるマインドとは|臨床心理士が解説
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南 舞
南 舞
2020-08-11

コロナウイルスによってもたらされるストレスフルな状況・メンタルヘルスへの影響は、じわじわと私たちの目の前にやってきています。さらに長期戦になりそうなコロナウイルスとの関わり、これから私たちはどう向き合っていくべきなのでしょうか。臨床心理士でもある筆者がそのヒントをお伝えします。

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コロナウイルス第二波…どう付き合っていく?

最近さらに、コロナウイルスの感染拡大が加速し、『第二波の到来』とも思える状況を迎えていますね。ウイルス感染への懸念ももちろんですが、今後心配されるのは、コロナウイルスによってもたらされる二次被害とも言える【メンタルヘルスへの影響】です。筆者もカウンセリングやヨガのクラスを行う中で、コロナウイルスによってストレスを感じている人の数は増え、以前よりも気持ちが鬱々としているという訴えが増えているのを日々感じます。ウイルスに対して『これをすればいい!』という解決方法も見えて来ないので、不安な気持ちが以前よりも増したり、日常生活を制限されることへの怒り、悲しみ、孤独感などネガティブな感情や思考でいっぱい!という人も多いのではないでしょうか。このような状況の中で注目されているのが【ネガティブ・ケイパビリティ】という考え方です。作家・精神科医の帚木蓬生氏によると、『どうにも答えの出ない、どうにも対処しようのない事態に耐える能力』『性急に証明や理由を求めずに、不確実さや不思議さ、懐疑の中にいることができる能力』のことをさすのだそう。まさに、コロナウイルスの対処法に正解が見えないこの状況の中で、私たちに求められるのはこう言ったことなのかもしれません。

コロナ 第二波 
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この状況、どうするべき?

では、ネガティブ・ケイパビリティを実践していくにはどうしたら良いのでしょうか。そのヒントとなるのが、【ACT】と呼ばれる心理療法です。この心理セラピーの中で大切にされているのが『自分のコントロールが及ばないものを受け入れ、人生を豊かにする行動をとることを自己決定する』という考え方。今回のコロナウイルスを始め、人生の中で思いがけないことや予想外のことに遭遇するなど様々なことが起きますよね。ACTの考え方によると、それを無理になくそうとしたり、戦おうとする必要はなく、【受け入れ、寄り添いながら】過ごしていくことが大切なのです。そういった考え方を実行可能にするための手段のひとつが【マインドフルネス・スキル】を身につけること。マインドフルネスといえば、今や様々な方法がありますが、その中でも身近なものが【ヨガ】であると筆者は感じています。呼吸とともに身体を動かすことを通して、自分の中に起きている微細な変化を観察しながら、【今この瞬間、自分の中に起きていること】に気づいていく。これはまさにマインドフルネスな状態です。マインドフルネスと聞くと、「難しい」「抽象的で分かりづらい」という印象を持ちがちですが、身体の感覚は比較的捉えやすいので、多くの方に実践してもらいやすいのではないかと思います。

コロナ禍で求められるマインドは

ヨガを通してマインドフルネス・スキルを身につけることは、【自分にとって必要なこと】【今起きている事態とどう向き合うか】を自分の力で選択できる手助けになることでしょう。先の見えない・答えのでない状況の中で私たちに求められるのは、『答えや正解を出そうともがくのではなく、今起きている事態とちょうど良い距離を保ちながら、一緒に歩んでいく』ことなのかもしれませんね。

ライター/南 舞

臨床心理士。岩手県出身。多感な思春期時代に臨床心理学の存在を知り、カウンセラーになることを決意。大学と大学院にて臨床心理学を専攻し、卒業後「臨床心理士」を取得。学生時代に趣味で始めたヨガだったが、周りと比べず自分と向き合っていくヨガの姿勢に、カウンセリングと近いものを感じ、ヨガ講師になることを決意。現在は臨床心理士としてカウンセリングをする傍ら、ヨガ講師としても活動している。

Instagram: @maiminami831

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