ヨガでアンガーマネジメント!頭にきた日には月礼拝で怒りを鎮めよう

月のパワーを取り入れよう
月礼拝は太陽礼拝ほどには知られていない。というのも、月礼拝には太陽礼拝のような長い歴史がないからだ。このシークエンスが考案されたのは、おそらく20世紀後半だろう。1960年代にヨガの専門学校として創設されたビハール・ヨガスクールは、69年に刊行された『アーサナ、プラーナヤーマ、ムードラ、バンダ』で初めて月礼拝を紹介している。(ちなみに、クリパル・ヨガセンターは、80年代に月礼拝のバリエーションを発表している)
しかし、元気回復のために月を仰ぐという考えは決して新しいことではない。事実、約500年前のタントラ(ヨガに先行するインドの実践哲学)の教本『シヴァ・サムヒタ』では、月は不死の源泉と記されている。『アルケミカル・ボディ』(デヴィッド・ゴードン・ホワイト著)の中で、カリフォルニア大学サンタバーバラ校の宗教学の教授が、タントラの実践者は、「太陽」はみぞおちに位置し、「月」は頭頂に位置すると信じていたと指摘している。月は「聖なる不老不死の甘露」というアムリタ(またはソーマとも呼ばれる)を包含し、それは活力あふれる雨となって地上へ降り注ぐと考えられていた。腹部に宿る灼熱の太陽はヨガの実践プロセスを誘導していくのに重要だったが、その熱はまた時間とともに老化、腐敗、そして死へと至らしめるものだった。このプロセスを食い止めるために、ヨギたちは逆転のポーズやムドラ(引き締め、または印)などを実践することで、アムリタを生成し、保存しようとした。このように逆転のアクションは、下部のチャクラから上部へと生命維持に必要な液体を送り込み、頭頂においてそれはアムリタに変換されるという。
この秘伝的な教えを現代的なハタヨガに応用すれば、太陽礼拝は体を温めて内的な炎と情熱をかき立てることでヨガの実践プロセスを誘導し、より深くヨガの修練に打ち込めるだろう。一方、月礼拝は私たちに体を鎮静させる方法を教え、それはまた生命エネルギーの補充に役立つのだ。「つまり、私たちは自分自身の体内でソーマを生成できるということです。それは瞑想と月のサダナ(練習)を通して培えるのです」とレイは言う。
古代のヨガの教本によれば、体には温めるエネルギーと冷やすエネルギーがあり、ヨガとプラーナヤーマ(呼吸法)によって両方のエネルギーのバランスと調和が保たれるとされる。そうして体に対して悟りの境地への準備を整えさせるのだ。長年、活力溢れる太陽礼拝の練習をしてきたレイは、月礼拝の定期的な練習によって自分自身が変わったことを認めている。「個人レベルでは、月礼拝によってより広い視点を持てるようになりました」と彼女は言う。「私たちはみな自分のエネルギーの満干を感じることができます。そして今、私にとって両方とも同じく価値あるものです。私は低エネルギーを否定的なものではなく、より瞑想的なエネルギーだと思っています」