慢性ストレスが健康に及ぼす被害|ストレスを緩和するのに効果的な6つの方法とは
ストレスを受け続ける身体
ほとんどの専門家たちの間では、副腎が日々の活動レベルを維持するのにきわめて重要な役割を果たしているという点で意見が一致している。それを理解するために、少しだけ神経化学の話をしよう。コルチゾールとは主要なストレスホルモンだ。健康体の場合、コルチゾールは24時間周期で分泌されている。通常は午前5時頃に最も分泌量が増え、それから徐々に減っていって就寝時に最も低くなる、とカラニックは説明する。普段からよく休息し、ストレスケアもしている人なら、朝の一杯の青汁と数回の太陽礼拝で一日を気持ちよく始められるだろう。夜になればコルチゾールが自然に減ると同時に睡眠ホルモンのメラトニンが分泌されるので、寝付きもいいはずだ。コルチゾールは、脳が差し迫った危険を察知すると、アドレナリンというもうひとつのストレスホルモンと一緒に一気に大量分泌される。すると、視床下部—下垂体—副腎軸と呼ばれるシステムに沿って光の速さで化学反応が起こる、とカラニックは説明する。「まず視床下部(神経系とやりとりをする脳の一部分)から下垂体(オーケストラの指揮者のように体のさまざまなホルモンを取りまとめている)に信号が伝達され、そこで身体を行動に駆り立てるための闘争・逃走反応が引き起こされます」と言うのは、ワシントンD.C.在住の米国ストレス研究所の研究員でライフコーチでもあるシンシア・アクリル医学博士だ。それによって刺激された副腎からアドレナリンが分泌されるので、危険に対してすばやく反応できるというわけだ。最初の急激なホルモン分泌がおさまるにつれ、視床下部は2回目の連鎖反応を起こす。だが今度は警戒態勢を維持するために、直接副腎に対してコルチゾールを分泌するように命令する。そして危険が去ると、副腎は視床下部に対して鎮静するようにメッセージを送り、闘争・逃走状態とは反対の、いわゆる「休息と消化」という身体を回復する状態に入る。だが私たちは仕事、人間関係、介護、過度な運動、大量のやるべきことなど、ストレスだらけの世界に生きている。アメリカ心理学会が大統領選後に実施した調査によると、アメリカ人のほぼ半分がストレスのせいで夜眠れない状態にあることがわかった。絶えず警戒態勢にある私たちの脳はこれらのストレス要因をすべて危険物とみなし、その結果コルチゾールが分泌され続ける。数百万年前は、サーベルタイガー(剣けんしこ歯虎。ネコ科の食肉獣)から逃げる時に栄養ドリンク並みのエネルギーが必要だったので、コルチゾールが大量分泌される必要があった。だが、現代の賢い脳をもってしても「この間抜けなコンピュータが自分を困らせている」とは判断できず、「この虎は自分を襲っている」と認識してしまうのです、とマサチューセッツ州ニュートンの機能性医療の産婦人科医であるウェンディ・トゥルボウ医学博士、経営学修士は言う。
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