蓄積された毒素を取り除くプログラムとは?【スリランカ「パンチャカルマ」体験レポート ♯5】

 蓄積された毒素を取り除くプログラムとは?【スリランカ「パンチャカルマ」体験レポート ♯5】
NOBUE SUZUKI
鈴木伸枝
鈴木伸枝
2019-03-13

本誌『ヨガジャーナル日本版』でもお馴染みの人気ヨガティーチャー鈴木伸枝さんが、スリランカでアーユルヴェーダの解毒プログラム「パンチャカルマ」を体験。スリランカのアーユルヴェーダ事情はもちろん、施術の実体験を通して感じたこと、学んだこと、変化したことをレポートする人気連載! アーユルヴェーダに興味がある方、もっと深く知りたい方は必見です。

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アーユルヴェーダ・トリートメントのメインプログラム「パンチャカルマ」とは

今回は、アーユルヴェーダ・トリートメントの中で一番重要なメインプログラム“パンチャカルマ”についてレポートしていきます。まず最初に、意外とまだ日本ではあまりきちんと紹介されていないアーユルヴェーダ・トリートメント・プログラムの“3つの段階”についてご紹介したいと思います。実は、本格的なアーユルヴェーダのトリートメントは次の3つの段階に分けて行われます。

まず第1段階が「プレパレーション・プログラム(準備のプログラム)」です。 これは第2段階のメインプログラム「パンチャカルマ」を身体に負担をかけることなく、かつ、その効果を最大限に引き出すための“心身の準備期間”です。これは通常、5~7日かけて行います。

その次の第2段階が「パンチャカルマ・プログラム(メインプログラム)」です。これも通常5日~7日間かけて行います。

そして最後の第3段階が「ポスト・プログラム(フォローアップのプログラム)」です。これは、パンチャカルマを受けて改善した心と身体のバランスを、プログラム終了後もしっかりと定着させ持続させるために、だいだい5日間~7日かけて行います。

これら3つの段階をしっかりと行うとなると、少なくとも通常は2週間~3週間の滞在期間が必要となります。最近、日本の女性たちがスリランカにアーユルヴェーダを受けに行き初めていますが、ほとんどの方が「プレパレーション・プログラム」を受けていらっしゃるようです。もちろん長期のお休みが取れないという事情はあるかと思いますが、可能であればメインプログラムであるパンチャカルマまでは受けることをおススメします。

その人の体調によってパンチャカルマまで行う日数は異なりますが、12日間~14日間あるとかなりの人がパンチャカルマまでできる可能性が高いようです。今回、私が12日間のプログラムにしたのは、「パンチャカルマまで受けて、本来の体の状態を知りたい、戻したい」と思ったからでした。

パンチャカルマ
初日に決めるトリートメントプログラム

12日間のパンチャカルマ・プログラムの内容

私の12日間のプログラムは、プリパレーションのプログラムとパンチャカルマ・プログラムを組み合わせたものです。 

プリパレーションプログラムは特に「デトックス=解毒」、つまり今まで身体に蓄積されてきた様々な毒素をできるだけこの期間にオイルを使ったトリートメントと独特なアーユルヴェーダの施術技術で取り除くことに力を注ぎます。 同時にこの時期に、以前ご紹介したアーユルヴェーダ式お食事療法で「身体の消化・吸収がきちんと動くようにする」ということを平行して行い、効果を高めます。このプリパレーションの段階で行わる代表的な施術が、アビヤンガ(全身マッサージ)、そして日本で有名なシロダーラなどです。シロダーラは実はメインプログラムのトリートメントではなく、「プリパレーション」プログラムの1つになります。

このプリパレーションプログラムで心身ともに準備ができてくると、次がいよいよメインの“パンチャカルマ”のプログラムに入ります。 パンチャカルマでは、ヴァマナ(嘔吐療法)、ヴィレーチャナ(下剤療法)、ナスヤ(鼻オイル療法)、パスティ(浣腸療法)、ラクタモクシャナ(採血療法)といった5種類の特別な治療法が行われます。必ずしも5種類全ての治療を受けるわけではなく、ドクターが診断結果をもとに、その人の体質や体調に合わせてプログラムを決めていきます。

滞在期間全体のトリートメントプログラムは、初めのコンサルテーションで決められます。この中で私が体験した特別な治療はヴィレーチャナ(下剤療法)、ナスヤ(鼻オイル療法)、パスティ(浣腸療法)。その他2つの治療は、今の私の体にはかえって負担が大きいと判断され組み込まれませんでした。

部屋は目的に応じて選べる

私が滞在した「Jetwing Ayurveda Pavilions」では、滞在するお部屋が、ヴィラタイプ(クィーンズビラ/キングビラ)とホテルタイプ(クラッシックAC付/スタンダードACなし)タイプから選ぶことができます。ヴィラタイプのお部屋の方は、お部屋にドクターとセラピストが毎日来てくれて、ヴィラ内の中庭でのプライベート空間でトリートメントを受けることができます。

ホテルタイプに滞在の場合は、問診もトリートメントも、お部屋とは別の場所にある「ニワサ」と呼ばれているアーユルヴェーダーセンター内にあるセラピールームで受けます。私は今回長期滞在だったので、とにかく寛げる空間を希望し、奮発してヴィラタイプのお部屋に宿泊しました。 ただ特別な設備が必要となる治療内容や私の体調や精神状態に合わせて、ニワサのセラピールームでトリートメントを受けることもありました。

パンチャカルマ
スタンダードタイプのお部屋

いざ、トリートメント開始!

まずは、全ての服を脱いで、用意されている紙パンツ1枚と客室内に準備されている緑色のガウンを羽織ってスタートの準備をします。

パンチャカルマ
ドクターデニッシュの奥様 Dr/デニシユカ

トリートメントの総合的なプログラムは、第1回目の問診の結果で決まります。ただし、毎日のトリートメントの前にも、必ずドクターによる短いコンサルテーション(先生が脈診と問診を通して、現在の私の体の状況を確認して下さいます)が入ります。この時に、問診でどこかに痛みがある、重たさを感じる、など気になることがあればこのタイミングで先生に報告をします。生理が来た場合も先生に報告します。(生理中もトリートメントは可能です)

このコンサルテーションをもとにプログラム内容を微調整し、ドクターがセラピストに本日のその日のトリートメントで特に意識して行う留意点などを細かく指示して下さいます。ですので、このコンサルテーションで、自分の体で気になっているところはどんどんドクターに伝えていくと良いですね。私が感動したのが、セラピストの皆さんが、毎朝施術がスタートする前に、瞑想を実践されていること。体と心をクリアにした状態で施術に向かって下さる姿勢が、とても嬉しかったです。

パンチャカルマ
トリートメントが始まる前に

素敵なことに、施術をする前に、必ずセラピストがお花をプレゼントしてくれます。こういったAyurveda Pavilionsのさりげないおもてなしが私は大好きでした。気持ちがほっこりします。まずは白檀の粉で足を洗います。

パンチャカルマ
日々変わるトリートメントオイル

そこから全身のオイルマッサージ。トリートメントで使用するオイルも、ドクターが選んでくれたカスタマイズされたオイルです。このオイルは塗られたところが軽くなる感じがありました。

パンチャカルマ
ヴィラタイプのお部屋はお庭でトリートメントを受けられます

足先から頭のてっぺんまで。触らない場所は1ヶ所もありません。セラピストさんがいろいろなマッサージのテクニックを使い(数十種類の指の動きがあります!)、身体の中の詰まっている場所の“流れ”を再生し、アーマ(毒素)を肌の外に出していきます。アーユルヴェーダ・トリートメントは、日本のマッサージでいう「コリをほぐす」ということよりも、「身体の中の滞りをなくし循環をよくする」というスタイルのものです。

オイルは湯銭されていてとてもあったかい、というかむしろ軽く熱いです(笑)そのあと熱々のハーブボールで全身をパフパフしてくれます。このハーブボールは本当に熱々!初回はこの熱さにビックリしましたね。もう少し肌に触れている時間が長かったら思わず声が出てしまうくらいの温度です。ここまでの施術は毎日行われました。もちろんマッサージテクニックは日によって異なります。先生の指示により重点を置かれる体のパーツも日々異なります。

パンチャカルマ
全身隅々まで流します

その他にも、お湯に付け込んだハーブの湯気を鼻から大きく吸い込んだり、ホースからスチームを出して体にあててマッサージをしたりするマッサージが入ることもありました。

トリートメントの効果を高める呼吸法と瞑想

オイルに含まれる様々な効用を皮膚から体内に取り込むために、施術の後もしばらくオイルをつけたままにしておくことが重要で、この時間も施術の1部と考えられます。初日はオイルマッサージ後に、1時間置いてからシャワーを浴びて下さいとの指示がありました。2日目から、オイルトリートメントが終わった後に、ハーブのパウダーや葉っぱを刻んだものを全身に塗られるようになりました。これがはいる時は30分後にシャワーを浴びるように指示があります。

パンチャカルマ
トリートメント後の姿

私はこのオイルをしみこます時間に、デニッシュ先生にアドバイスして頂いた呼吸法と瞑想をするようにしていました。アーユルヴェーダの治療を受ける際は、リラックスしているということがその効果を大きく高めるようで、デニッシュ先生はプログラム中の過ごし方として、瞑想を行うことをとてもお勧めしています。デニッシュ先生が私におススメしてくれた呼吸法は…

鼻から勢いよく肺一杯に大きく吸い込み、軽く息を止めてから、鼻から勢いよく吐ききっていくというものでした。1回5分を1日5セット目安でやってくださいとのアドバイスを頂きました。全身に酸素を送れるよう肺をフルにつかって大きく呼吸することが大切なのだそうです。

パンチャカルマ
ヴィラタイプのお部屋のお庭は瞑想に最適

パンチャカルマ後の変化

プログラムが始まって初めの数日は、私は好転反応があり少し気持ち悪くなったり、首の周りに湿疹が出たりしました。体が重たく、特に腕は上げるのがちょっと大変だと思うくらい怠かったのですが、関節の可動域は上がっていて面白かったです。1週間が過ぎた頃から体がどんどん軽くなり「この感覚久しぶり!!!」と子どもの頃を思い出すような感じになりました。

葉っぱを刻んだものを初めて塗られた時は、全身に湿疹が出て驚きましたが、2回目からは湿疹が出なかったのも面白かったです。嬉しかったのが、3ヶ月前に突き指をしたところが、ヨガ後に必ず痛くなりなかなか治らなくて困っていたのですが、気がついたときにはその症状が全くなくなっていたこと。喉の湿疹はプログラムの最後の方でおさまってきました。甲状腺がちゃんと機能していないとコンサルテーションで言われていたので、そのこととも関係していたのかもしれないですね。

次回は、私が体験した、パンチャカルマのスペシャルトリートメントと、シロダーラの詳細についてレポートします。お楽しみに!!!

鈴木伸枝
指導者養成の講師としても活躍し、1000人以上のインストラクターを輩出。講師育成や、全国のイベント出演、雑誌監修など、活動は多岐にわたる。鈴木伸枝パーソナルヨガスタジオ-Releace Space-主宰。‘自分を生かすYOGA’をモットーに、自分に意識を向ける時間をつくり、自身で心身をベストコンディションへ導く「自己調整力を引き出すヨガ」を伝えている。Instagram:@nobue.style

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