世界を知るための感覚とその揺らぎ|理学療法士がヨギに知ってほしい体のこと

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世界を知るための感覚とその揺らぎ|理学療法士がヨギに知ってほしい体のこと

得原藍
得原藍
2019-01-10

視覚で考えてみましょう。明るい場所から急に暗い場所に移動すると、視界が暗く狭くなります。そして徐々に目が慣れてきて、少しの光でもあれば景色を把握することができるようになります。電気のスイッチをオンオフするような明確な瞬間的な変化が起きるわけではありません。視覚は光と色をそれぞれ別の細胞が受け取ることで景色を作り上げていますが、受容器である網膜、刺激を伝える視神経、それを受け取る大脳と、それぞれが生き物として小さな誤差やその補正を繰り返しているので、いつも必ず同じ情報が同じように認識されるのか?というと、そこには多少の揺らぎがあるのです。

同じように、前庭覚や体性感覚も、その時々の条件によって感覚としての機能に揺らぎを持っています。しばらく船に乗っていると頭も体も揺れている感覚を持ちますが、陸に上がってもしばらくは体が揺れているように感じる…というのもわかりやすい例かもしれません。また、身体は、強く押したり触ったりした後に弱い力で同じことをすると、最初の刺激の影響で後の刺激を感じにくくなったりもします。これらの感覚全てが、さらに相互作用を持って周囲の情報を脳に伝えているのですから、その揺らぎの幅も単独で理解するよりはるかに大きいものになり得るでしょう。

大切なのは、自分たちが世界を把握しようと活用している感覚は、絶対的な値を常に返す機械ではない、ということです。そこには揺らぎがあり、前後の状況からの影響もあり、並行している他の感覚との相互作用もあるのです。体温や心拍数など、生きる上で必要な機能も関わっています。
今自分の身体がどのような状況にあるのかを捉えようとするとき、感覚の揺らぎを無視することはできません。それは身体の内側の声です。身体の感覚に集中しようとするとき、穏やかな光と、密やかな音と、適切な温度が助けになることがあると思います。感じるには集中力が必要なのです。

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