なぜ他人の幸せに落ち込むのか|「ネガティブな私」を受け止めるヨガの教え

 なぜ他人の幸せに落ち込むのか|「ネガティブな私」を受け止めるヨガの教え
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「これをやろう、あれをやろう」と思っていることはたくさんあるのに、日々の忙しさに追われてうまくいかなかったり、「もっとこうだったらいいのに」「あの人はできるのに、なぜ自分はできないんだろう」そんなふうに他人と自分とを比べて自信を失くしたり、ネガティブな気持ちになってしまうことってありませんか?ヨガ哲学には〈サントーシャ(知足)〉という教えがあり、「足るを知る」ことが大切と言われていますが、これって日常生活を乗り切っていくのにとても大切な考え方なのです。

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サントーシャ(知足)とは?

ヨガには「八支則」と呼ばれるヨガの哲学があります。ヨガを深めるために、守るべきこと、行うべきことが8つの段階で書かれているものです。
八支則のうちの第二段階がニヤマ(Niyama)と呼ばれ、その中に「Santosya(サントーシャ、知足)」という教えがあります。サントーシャとは「自分の心が満足していて、何の不足も感じていない」「現状の今の自分に満足できている」という心の状態を表す言葉です。

なぜ自分に足りなさを感じてしまうのか?

誰もが自分に満足し、満ち足りた状態でいられれば良いのですが、あわただしい日常の中ではそううまくもいかず、自分に足りなさを感じてしまうことってありますよね。例えば、一緒に入社した同期が転職して成功を収めている、昔から仲の良かった友達が先に結婚したなど、誰でも他人のうまくいっている姿を見て「○○は上手くいっているのに、なぜ私には○○できないんだろう」と感じた経験は少なからず誰にでもあるはず。また、そういう風に感じてしまう自分のことを責めて、自分のことがイヤになってしまう人もいるのではないかと思います。
実は、他人の幸せな話は、それを聞いた人に衝撃を与え、「不安」という感情を生むと言われています。これは特に自分のなかでやりたい事、こうありたいと思う姿になれなくて焦りを感じていたり、自分に余裕がないときに特に起こりやすいと言われます。

いつも「こうすべき!」って思ってない?

不安を感じたことで嫌な気持ちになってしまうことがあるとしたら、「幸せとは、祝うべきものだからそれができないなんてダメ」と自分の中で信じ込んでいるからかもしれません。こういった思考は、心理学の中では「べき思考」と呼ばれ、「こうでなければいけない」「こうすべき」という考え方が癖になっているとそれに縛られてしまい、自分を苦しめることがあると言われています。
今自分が感じている不安の原因が「他人の幸せによって衝撃を受けたから起きている」ということが分からないと、「べき思考」によって不安がどんどん大きくなり、「私がダメだからいけないんじゃないか」「今まで自分がしてきたことは全部間違いだったんじゃないか」と自分を責めることになります。他人と自分を比べることは止まらず、「自分には足りないところばかり」と悪循環の繰り返し。

自分に足りなさを感じているのが心理学的にどういう状態か、何となくわかってもらえたでしょうか。では、このような悪循環から抜け出すにはどうしたらよいのでしょうか。

自分に足りなさを感じてしまう原因が【不安】という感情から引き起こされていること、そして不安が「べき思考」が生み出されやすいこと、それらによって悪循環がおきることについてお伝えしました。「原因は分かったけど、じゃあどうすればいいの?」その具体的な解決策についてご紹介します。

1.「自分は焦っている」ということを認める

他人の幸せを素直に喜べればよいですが、なかなかそういう気持ちになれない時もありますよね。だからこそ、「今他人の幸せを聞いて不安になった」「そしてその幸せが喜べない自分がいる」「自分のことがなかなかうまくいかなくて焦っているから」というように自分の気持ちを一旦認めてしまうこと。逆に「そんなこと感じていない。感じてはいけない」と自分の感情を否定すると、余計に苦しくなります。
また、人と自分を比べてしまう癖があると心当たりがある方は、カウンセリングでも用いられる方法で整理、書き出してみることもおすすめ。

 A:出来事(冷静に何があったのかを事実ありのままに受け止める)

 B:思考(AとCの間にどんな思考が働いたのか。もしかしたら偏った思考が存在するのかも)

 C:感情(どんな感情になったのか。あるいは思考にどのような影響を受けたのか考える)

Bに偏った考え方をするクセがあると、他人と比べることやそれによって嫌な気持ちになる原因になっているかもしれません。まずはそのクセに気づくのが一歩!

2.自分のできていることに目を向けてみる

他人と比べると、どうしても「自分はできていない。」と思いがちですが、果たしてそうでしょうか?自分ができていないと思い込んでいるだけで、実はできていることってけっこうあるはず。まずは小さいことで良いから、自分のできていることに目を向けてみましょう!その時に、リフレーミングという方法を使って、いつもの感じ方とは違う方向に言い換えてあげるとベスト!例えば、

A:私は話が上手にできない→B:私には聞き上手なところもある

A:私は人に流されやすい→B:私には柔軟性がある

いつもはAの考え方をするクセがあったとしても、視点を変えてBのように考えてみるとポジティブな印象を受けませんか?

3.周囲から離れて、自分一人になれる時間を作る

他人と一緒にいる時間が長ければ長いほど、周りに自分がどう見られているか、周りと比べて自分はどうかと考え勝ち。そんな時はあえて一人になれる時間をに作りましょう。そして、自分がしたいこと、過ごしたいと思う時間の過ごし方をすること。自分のやりたいことをやりたいようにできることで、自分をコントロールできている感覚が生まれ、自分の考え方や行動にも自信が持てるかも。特にヨガは、周りの比べることではなく、自分の呼吸や身体、気持ちに目を向けることを大切にするので、まさに一人の時間の過ごし方としてはぴったり。ヨガをしてカラダの凝りや緊張をほぐして、深い呼吸とともに瞑想をする。自分の気持ちや価値観を大切にする時間を作ってあげると良いかも!

サントーシャの考えでネガティブマインドを乗り越えよう

他人と比べること、他者からどう思われるかということが優先されがちな世の中。自分がどう思うか、自分がどうしたいかという気持ちを大事にするのが難しい時もあると思います。そんな時、サントーシャ(知足)の教えを思い出し、ヨガをして自分の身体やココロに意識を向ける時間を作ってみてはどうでしょうか?もっと多くの方が自分の考え方や生き方、行動に目を向けてみると、少し気持ちが楽になるかもしれませんね。

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