何事にも動じない人になりたいなら|マインドフルネスを培う方法

 マインドフルネスは退屈?集中できない人のためのアーサナプラクティス
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正直に答えてほしい。ヨガのクラス中に、集中できず退屈した経験はないだろうか。そんな日は、マインドフルネスをアーサナのプラクティスに取り入れてみては? 続けていけばマットの上だけでなく、日常生活でも集中力を高め、平常心を保つ手助けになるだろう。

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ヴィーラバッドラーサナⅠ(戦士のポーズⅠ) のポーズをとっている。後ろの足を懸命に伸ばし、尾骨を下げて腰から離そうとしながら、腕を天井の方へ引き上げている。ポーズを保ちながら、太腿の前が焼けるように熱くなり、肩が緊張し、呼吸が苦しくなっているのに気づいてくる。ポーズはまだ続く。
じき、心に落ち着きがなくなり、ポーズを終えたときに感じる喜びを待ち望み始める。ポーズを終えるように、という先生の指示を待っている間に、呼吸が浅くなる。ところが先生は何も言わない。先生にサディストというレッテルを貼る。ポーズはまだ続く。もう二度とヨガをしないと決心する。太腿が震え出したとき、もうどうでもいい、と思う。挫折を感じながら腕を下ろし、周囲を見渡す。
次に、こんな様子をイメージしてみよう。同じ感覚に気づき、怒り、倦怠、苛立ち、緊張といった、同じ思考や感情を抱きながら、ヴィーラバッドラーサナⅠのポーズをとっている。だが、数々の思考には反応せずに、ただそれを観察している。人生の他のすべてのものと同じように、ポーズもいずれは終わることを思い出す。頭の中で自分が描き出したストーリーに巻き込まれないように注意する。そして、太腿の焼けるような感覚に苛立ちながらも、その瞬間がもたらす喜びを味わう。ハタヨガのプラクティスに費やす時間があり、そうできる境遇にあることに、強い感謝の気持ちを感じることもある。その後、意識を呼吸へと戻し、先生がポーズの終わりを告げるまで、そのときの感覚と思考の観察を続ける。
たった今経験したのが、意識を今の瞬間に向け、批判や反応をせずに、ただ今起こっていることに気づき、受け入れるという、マインドフルネスがもたらす恩恵だ。当然のことながら、それは最初に描いたシナリオよりもずっと心地よい。マインドフルネスは、仏教の瞑想者が培う手法だ。これをアーサナのプラクティスに取り入れると、マットの上だけでなく、そこから離れたときにも集中力と気づきを高め、最終的には、どんな葛藤や衝突、心の混乱があっても、人生をより楽に歩んでいけるようにしてくれる。

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Story by Nora Isaacs
Translated by Yuko Altwasser
yoga Journal日本版Vol.42掲載



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シャヴァーサナ マインドフルネス
針穴のポーズ
ヴィーダーラーサナ(猫のポーズ)
ダウンドッグ
山のポーズ(ターダーサナ)
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