【コアといえば舟のポーズ一択?もう飽きた人必見】コアを鍛える最強ポーズ「ローラーサナ」

 【コアといえば舟のポーズ一択?もう飽きた人必見】コアを鍛える最強ポーズ「ローラーサナ」

ローラーサナを試してみよう。見落とされがちな、ヨガにおけるコア強化のポーズだ。

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多くの人は「強い体幹」を「強い腹筋」と同一視し、それを鍛えるためにさまざまな形の腹筋を行う。確かにそれは良いスタートにはなる。ヨガには腹筋と股関節屈筋を集中的に鍛えるポーズがたくさんあるのだが、ほとんどのヨガクラスで頻繁に(多くの場合、うめき声とため息の大合唱の中で)教えられているのはパリプールナナーヴァーサナ(舟のポーズ)だけだ。

ローラーサナ(ペンダントポーズ)も選択肢の一つだ。ナーヴァーサナほど柔軟性は必要とせず、最もチャレンジングなバージョンにはかなりの腕の力と体幹の強さが必要ではあるが、ほとんど全ての人に合わせて軽減することもできる。

ローラーサナ
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ローラーサナとは?

ローラーサナがペンダントポーズと呼ばれるのには理由がある。文字通り腕の間に体がぶら下がり、少し揺れることもあるからだ。マットに膝をつき、両手を肩の下に置き指を広げ、体重を腕に移動させながら足首を絡め(もしくは絡めなくてもよい)、膝と足をマットから離し、胸の方に引き寄せる。

このポーズは、腹筋群の全て、股関節屈曲筋群のほとんど、そしていくつかの肩の筋肉を強化するために非常に効果的だ。また、外腹斜筋の強い力を必要とし、しばしば見落とされがちな腹部の側面を強化することに長けている。

ローラーサナは、腹筋群と股関節屈筋群を強化する他のポーズと同様に、アーサナの練習の際、腕や脚を伸ばして様々なポジションに動かす時の、胸、背中、腹筋を安定させる能力を向上させる。これらが安定していることは、安定性を見出すことと、腰痛を予防するために不可欠となる。

しかし、ローラーサナには、ナヴァーサナや腹筋にはない特典がある。ローラーサナは腕と肩を鍛える。そしてその腕と肩の力が、腹筋、股関節の力強い動きと連動するよう、神経系が鍛えられる。これは、重いドアを開けるときやテニスをするときなど、日常生活で必要となる腕と脚の前に押し出す力の基礎となる。

ローラーサナは、より難しいアームバランスの準備や、アドームカシュヴァーナーサナ(ダウンドッグ)からダンダーサナ(杖のポーズ)への「ジャンプスルー」の能力を向上させ、ヨガの練習に恩恵をもたらしてくれる。

もちろん、これらの恩恵を得るためには、定期的にローラーサナを練習に取り入れ、理解して取り組むことが必要だ。

腹筋の画像
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ローラーサナの解剖学

ローラーサナのポーズ中は腹筋群のすべて、特に正中線に沿った腹筋を使って、骨盤の前面を胸郭の前面にできるだけ引き寄せる。腰と胴体をしっかり丸めながら、股関節屈筋群を使って太ももをできるだけ強く胸の方に引き寄せなければならない。

ローラーサナでは、腹直筋、外腹斜筋、内腹斜筋の3つの腹筋が連動して骨盤を持ち上げている。筋肉の複雑な配置により、これらの筋肉が同時に収縮すると、骨盤が肋骨の方向に強く引き上げられ、腰椎が屈曲し、体の背面よりも前面が大きく持ち上げられる。

腹直筋は、"シックスパック "のようなおなじみの外観を作り出す。胸骨の基底部(剣状突起とその近くの軟骨)と骨盤の前面下部の中央(恥骨)をつなぐ丈夫な結合組織の鞘に組み込まれ、いくつかのセグメントで構成されている。

外腹斜筋は、腹直筋と並び、腹部の前面の残りの部分、腹部の側面、腰の背面の一部を覆っている。その繊維は胸郭下部の側面に付着し、斜め下と前方に走り、もう一方の端は腹直筋鞘に、後方では骨盤の上縁に付着している。

内腹斜筋は外腹斜筋の下にあり、その繊維は前面で腹直筋鞘につながり、外腹斜筋の繊維とほぼ垂直に斜め下と後方に走って、骨盤の前面と側面の縁に付着している。

ローラーサナでは、腹部と股関節をリラックスさせ、骨盤と脚をぶら下げることで、腕、胸、肩が全ての仕事を担う。上腕の裏側にある上腕三頭筋を引き締め肘を真っ直ぐにする。そして、胸筋 (胸の前面にある) と、前鋸筋(肩甲骨の内側から脇の前の肋骨側面にかけて走る)という、2つの筋肉群が共同して胸郭を上に持ち上げていることを意識する。この上方への持ち上げが、ぶら下がった骨盤から肋骨を離れさせる。これは息を深く吸い込むときの動きと似ている。

ローラーサナの練習方法

ローラーサナを学ぶ最良の方法は、簡単なバージョンから始めること。そして、力がついたら徐々に難易度を上げていくことだ。まず腕、体幹、背骨の周辺に働きかけ、体と心の準備をする包括的な練習をしながら、ローラーサナに挑戦するとよい。

ローラーサナの始め方

ローラーサナで使う筋肉を直感的に理解するには、頑丈な椅子に座り、両手をお尻の両脇の座面に置き、45度ほど前傾して、骨盤の重さの大部分を持ち上げるようにしっかりと手で座面を押す。

次に、息を吐き、太ももを胸の方に持ち上げるよう上に引き寄せながら、両手を強く押し下げる。腹筋は胸郭と骨盤をつないでいるので、骨盤と肋骨を持ち上げようとすると、腹筋に力が入るのを感じるはずだ。股関節の前側の筋肉は、骨盤と背骨を太ももにつないでいるので、足をマットから上げるかどうかには関わらず、股関節の筋肉に力が入るのも感じるだろう。

ローラーサナへのリフトアップ

ローラーサナで体を持ち上げるのに十分な強さを身につけるには、たくさんの練習が必要かもしれない。このポーズをもっと行いやすいものにするために(それでもチャレンジングであることには変わりないのだが)、ブランケットブロックを使ったバリエーションを試してみよう。

1枚か2枚、ヨガブランケットを折りたたみ、肩幅より広い長方形にする。厚みは3~5センチになるようにする。ブロックを一番低い高さで、短辺の片側を折りたたんだブランケットの端に乗せ、もう片側はマットに下りるようにして斜めに置く。肩幅の間隔で2つ置く。膝をブロックの間のブランケットの上に置き、骨盤を持ち上げ膝立ちになる。両手をブロックの上に置き、両手のかかとがブランケットの端の真上にくるようにする。(手の位置が前過ぎるとブロックがひっくり返るので注意。)足首を交差させる。

前傾姿勢になり、息を吐きながら両手でしっかりと押し下げ、両足を床から浮かせようとする。肩甲骨と肩甲骨を離し、体をできるだけ高く持ち上げると同時に、かかとを引き上げて胴体を丸め、太ももを胸郭にできるだけ近づけて体を丸める。息を深く吐きながら、腹部をできるだけ強く引き締める。

可能であればここにとどまり、背中の真ん中が床から離れるよう丸めて持ち上げながら、背骨全体で「猫のポーズ」の動きを作る。最初は目線を地面落とす必要があるかもしれないが、バランスが取れたら、徐々に頭を持ち上げ、力まず、眉間にしわを寄せず、まっすぐ前を見る。数呼吸の間体を軽く前後に振った後、体を下ろしていく。足首の組み方を交互に変えながら、3〜5回繰り返す。

ローラーサナのイラスト
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ローラーサナに向かっている間は、足をマットにつけたままでもかまわない。腕を押し下げて体を高く上げる際に、足の甲を床に押し付け、膝を少し伸ばし持ち上げの補助をする。足を床に押し付ける力で、太ももを胸に近づけることを助ける。胴体を丸め、このポーズの伝統的なバージョンに入る。足で押し下げる力を徐々に弱め、腕、腹筋、股関節屈筋群で支える力を強めていく。できるだけ足を床から離していこうとして、力の限界に挑戦してみよう。最後にスイングする動作は省く。

ローラーサナのトラブルシューティング

下半身を持ち上げるために腹筋群の全てが働くので、ポーズによってすべての腹筋が鍛えられる。そしてその中でも特に外腹斜筋の働きが強くなる。というのも、外腹斜筋の前部の繊維は、肋骨の側面に直接つながっており、肋骨を下と内側に引っ張るからだ。腹斜筋は肋骨が前方にスイングすることを防ぎ、前鋸筋の持ち上げる力を腹部と股関節を持ち上げる動きに変換する。つまり、ローラーサナを効果的に行うには、腹部前側の側面を収縮させることに特に注意を払う必要があるのだ。

ローラーサナでマットから脚を離す方法を詳しく見ていこう。ここで持ち上げを最も強く行っている筋肉は、腸腰筋だ。腸腰筋は腸骨筋と大腰筋という2つの股関節屈筋群から構成される。これら2つは深層筋である。そしてまた、股関節屈筋群のいくつかの表層筋も腸腰筋を支えている。

股関節屈筋群は、骨盤の前面や背骨の下部をアンカーポイントとしている。そのため骨盤の前面を持ち上げたまま、股関節から前傾することができて初めて、脚を床から浮き上がらせることができる。腹筋群はこの持ち上げと屈曲を助けるもので、これが弱いと骨盤の前の収縮が弱まり、背骨の屈曲が失われ、脚が床の方に垂れ下がってしまう。もちろん、股関節屈筋群も強さが必要だ。これが弱いと、いくら骨盤と背骨を高く持ち上げても、脚を上げることができない。

教えてくれたのは……ロジャー・コール博士

ロジャー・コールはアイアンガーヨガの認定指導者であり、リラクゼーション、睡眠、生体リズムの生理学を専門とする研究者でもある。また、解剖学、生理学、アーサナやプラナヤマの実践について、ヨガの先生や生徒を指導している。世界各地でワークショップを開催している。詳しくは、http://rogercoleyoga.com へ。

ヨガジャーナルアメリカ版 / 「The Most Underrated Yoga Pose for Core-Strengthening」(2010年2月26日に公開された原文の改訂版)

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by Roger Cole, Ph.D.
photos by Getty Images
illustration by Eraxion
translation by HIDEMI

AUTHOR

ヨガジャーナルアメリカ版

ヨガジャーナルアメリカ版

全米で発行部数35万部を超える世界No.1のヨガ&ライフスタイル誌。「ヨガの歴史と伝統に敬意を払い、最新の科学的知識に基づいた上質な記事を提供する」という理念のもと、1975年にサンフランシスコで創刊。以来一貫してヨガによる心身の健康と幸せな生き方を提案し続けている。



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