【今注目のNSDR(眠らず深い休息を取る)驚きの効能】ヨガの眠り「ヨガニードラ」との違いとは?

 【今注目のNSDR(眠らず深い休息を取る)驚きの効能】ヨガの眠り「ヨガニードラ」との違いとは?

どちらも、ストレスを軽減し、深いリラックスを実現し、睡眠を誘発することができます。しかし、NSDR(Non-Sleep Deep Rest=眠らず深い休息を取る)とヨガニードラは似ているようで同じではありません。その違いを説明しましょう。

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ストレスの多いこの時代、私たちの身体はこれまで以上に休息を必要としています。NSDRとヨガニードラは、不安や焦燥感を解放し、眠りにつくためのツールです。あなたのニーズに最も合うのはどちらでしょうか?

NSDR(Non-Sleep Deep Rest=眠らず深い休息を取る)のルーツ

NSDRは、スタンフォード大学の神経科学者であるアンドリュー・ヒューバーマン博士が、10年以上にわたって研究・実践してきた造語だと言われています。ポッドキャスターのティム・フェリス氏とのインタビューで、ヒューバーマン博士は、この言葉と頭文字を選んだのは、瞑想やヨガになじめない人々にも受け入れられると考えたからだ、と語っています。

NSDRは、自分で決めた、呼吸や視覚化など何かに集中する状態と穏やかな状態の両方を含むと言います。NSDRは、ヨガニードラや催眠術、あるいは深い休息を得るための昼寝など、幅広い実践を包含する包括的なワードです。ヒューバーマン博士によると、NSDRは効果的に「脳を充電」するため、学習の速度と深度を高めることも示されていると言います。

NSDRは、ASMR(Autonomous Sensory Meridian Response)と混同してはいけません。ASMRは、TikTokやその他のSNSプラットフォームで流行している、リラックス効果をもたらす動画ジャンルで、通常、誰かがマイクに向かってささやくものですが、口でクリック音を出したり、紙をしわくちゃにしたり、ヘアドライヤーを使用したり、様々な「トリガー」行為を行うのが特徴です。

NSDRを実践するために、ヒューバーマン博士はReveri(レヴェリ)という無料の自己催眠アプリか、ガイド付き瞑想のどちらかを推奨しています。この瞑想は、呼吸、音、視覚化、体の意識に集中する一連の作業を、最大30分間ゆっくりと行います。

ヨガニードラとは何か?

ヨガニードラは「ヨガの眠り」としても知られ、紀元前700年にまで遡る古代の修行法です。これを教えるヨガの専門家によると、ヨガニードラはYouTubeのビデオを見てできるようなルーティンよりも複雑なものだそうです。アーユルヴェーダ&ヨガセラピストのインデュ・アローラさんは、NSDRと比較するよりも、瞑想やシャヴァーサナ(亡骸のポーズ)に似ていると考えています。

ヨガニードラは、ヨガの最後の2つのステップである瞑想とサマディ(瞑想的な吸収の状態)の間の橋渡しです」と、アローラさんは言います。「ある種の実践をすることで、実際に肉体や精神的な体からゆっくりと離れていくのです。実際に、自分を核に戻すような実践をします。ヨガニードラの実践とは、その中心に留まることなのです」。

認定ヨガセラピストのジェニファー・レイスさんは、「ディヴァイン・スリープ・ヨガニードラ」というティーチャートレーニングを開発し、この実践方法を横になって行う誘導瞑想と表現しています。レイスさんは毎回同じプロトコルで指導していますが、実践のスタイルや方法は実に様々であることを認めています。

しかし、ヨガニードラの効果を最大限に引き出すために、準備する方法はいくつかあるとアローラさんは言います。シャヴァーサナで横になったり、オームを唱えたりすることで、この技法を実践できる状態になることができるのです。「オームはヨガニードラへの旅であり、ハミングの音の後に続く静寂がヨガニードラの状態を表現しています」。シークの伝統では、この音の後に続く"静寂"は、ナーダ、または "宇宙の振動"と呼ばれています。

どのように達成されるにせよ、ヨガニードラは様々な心の状態に入ることを伴うと、レイスさんは言います。「目が覚めている間に、無意識と潜在意識のレベルに引き込むのです」と彼女は説明します。そこに到達するために、レイスさんのプロトコルは、5つのコーシャ(存在のレベル)を通して生徒を導きます。「肉体」「エネルギー・呼吸体」「精神・感情体」「直感・目撃体」「至福体」です。「このように、様々なレベルが特定の段階を経て目覚めていくのです」と、彼女は指摘します。この段階的なプロセスが、深いリラクゼーションをもたらすのです。

レイスさんは一連の異なる心理状態と表現したものを、アローラさんは脳波の変調と呼んでいます。「それは、人間が夢のない深い眠りについたときにだけ認められるデルタ脳波変調の休眠状態のことで、別の言葉で言えばノンレム睡眠と呼ばれるものです。同じ脳波の変調を生み出し、眼球運動がない睡眠に入ることができたとき、意識はリラックスした状態で、それはヨガニードラと呼ばれています」と彼女は説明します。

レイスさんはヨガニードラを達成するためにコーシャを使いますが、地、水、火といったエレメントを通じた旅をする人もいるとアローラさんは言います。アーユルヴェーダを実践している人は、プラーナを用いるかもしれません。「しかし、究極的には、(ヨガニードラは)解脱の状態であり、無の状態なのです」と、アローラさんは付け加えます。

ヨガニードラは危険?

この深い無の境地は、すべての人に適しているわけではありません。ヨガニードラは無意識や潜在意識に働きかけることができるため、PTSDなどの精神障害を持つ人には注意を払います。そのような場合は、ヨガニードラの練習中、より肉体にグラウンディングするように指導したり、セッションを20分以上に伸ばす前に、5〜10分の短い旅をするように指導したりすることもあるそうです。

アローラさんは、PTSDや精神に作用する物質の影響下にある人がヨガニードラを行うと、幻覚を見る可能性があるため、監督下で行うべきだという意見に同意しています。 「誰にとっても有益なのは、身体をリラックスさせ、呼吸をリラックスさせる方法を学ぶ、シンプルなリラクゼーションの実践です」と、彼女は言います。

ヨガニードラの効果

そして、リラクゼーションこそが、究極的にはヨガニードラの目的なのです。数分のセッションでも45分のセッションでも、深いリラックス状態を得ることができると、レイスさんは言います。彼女は様々なタイプの瞑想(ボディスキャン、マインドフルネス、ビジュアライゼーション)を組み合わせることで、ストレス軽減、睡眠補助、痛みの緩和、免疫力アップなど、多くの効果が期待できると言います。

一方で、アローラさんは、前述の期待される効果はヨガニードラの重要なポイントではないと言います。「ヨガニードラの効果はその過程にあるのです。ヨガの状態を経験し、ヨガの状態を維持することができるのです」と付け加えます。これは、アウェアネス(意識)を高めることで起こります。身体と心に触れることも、定期的な実践によるポジティブな「副次的効果」です。

ヨガニードラの実践方法は、アプリストアやYouTubeで簡単に見つけることができますが、アローラさんは、できれば確立されたトレーニングプログラムで、この実践を深く探求した個人から学ぶことを勧めています。NSDR、ディープリラクゼーション、シャヴァーサナ、ヨガニードラのいずれを試すにしても、意図して行うことが大切です。「これらの実践は、多くの自己探求、多くの熟考、自分自身を知るための多くのハードワーク、自分自身と一緒にいる準備ができている必要があります」と彼女は述べます。

では、何が一番良いのか?

NSDRは、ストレスを軽減し、難しい仕事や精神的に負担のかかる仕事への集中力を高める、シンプルな毎日の習慣を見つけたい人に向いているかもしれません。ヨガニードラは、すでにヨガをやっていて、深くリラックスした幸福な状態を体験するために、現在の練習に取り入れられる古代の方法を試してみたい、という人に向いているかもしれません。

教えてくれたのは…ジバ・カシェフさん
ジバ・カシェフさんはフリーランスのライターで4冊の著書を持つ。雑誌エッセンス(Essence)とプレグナンシー・マガジン(Pregnancy Magazine)の編集者を経て、健康、メンタルヘルス、ライフスタイルの分野を専門としている。

ヨガジャーナルアメリカ版/「NSDR Is the Trendy Practice Right Now. But Is It Better Than Yoga Nidra?

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By ZIBA KASHEF
Translated by Hanae Yamaguchi

AUTHOR

ヨガジャーナルアメリカ版

ヨガジャーナルアメリカ版

全米で発行部数35万部を超える世界No.1のヨガ&ライフスタイル誌。「ヨガの歴史と伝統に敬意を払い、最新の科学的知識に基づいた上質な記事を提供する」という理念のもと、1975年にサンフランシスコで創刊。以来一貫してヨガによる心身の健康と幸せな生き方を提案し続けている。



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