体を鍛えると脳も鍛えられる?脳内科医が語る「歩けば歩くほど脳が成長する」仕組みとは

 体を鍛えると脳も鍛えられる?脳内科医が語る「歩けば歩くほど脳が成長する」仕組みとは
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身体を鍛えるとき、ある特定の部分に的を絞って鍛えることが多いかと思います。たとえば、足腰を鍛えるためにランニングをしたり、上半身を強化のためにウエイトトレーニングをしたり。では、脳はどのようにして鍛えたらいいのでしょうか。実は身体を鍛えると脳が鍛えられ、脳を鍛えると身体が鍛えられるという仕組みがあるそう。そこで、これまで1万人以上の脳画像を見てきた脳内科医で脳番地トレーニングの提唱者、加藤俊徳先生に先生の著書『最強のウォーキング脳』(時事通信社)から、そのメカニズムを詳しく伺いました。

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脳は8つに脳番地でわかれている

「足」と「脳のてっぺん」のしくみの前に、まずは脳の役割について加藤先生に教えていただきました。

「脳は場所によってその役割が異なります。私はそれらを8つの脳番地に分けて説明しています。その8つとは、①運動脳②感情系③視覚系④思考系⑤聴覚系⑥理解系⑦伝達系⑧記憶系です。そのうちのひとつ、『運動脳』は身体を動かすための指示を出す脳番地です。また、運動脳の後方には『体性感覚野(感情系脳番地)』という、身体からの触感情報を受け取る脳番地もあります。
脳神経外科医のペンフィールド博士は、体性感覚野と運動脳の中にある、第一次運動野を刺激して、手・足・目・鼻・舌などの運動や感覚がどこでおこなわれているかをマップに表しました。これを『ペンフィールドマップ』といいます」(加藤先生)

脳のてっぺんが壊れると、人間は足を使って動くことができない

ペンフィールドマップで注目したい点は、ずばり足が対応する位置。なんと、足は脳のまさにてっぺんに位置していることがわかりました。このことから、ウォーキング時、脳のてっぺんから指示が出されて足が動き、歩くことで得た足の情報は、脳のてっぺんに送られるということがわかります。
逆に言えば、脳のてっぺんが壊れてしまうと、足を動かすことが困難になってしまうということです。足と脳がここまで密接に関わりがあったとは驚きですね。

歩けば歩くほど脳は成長する

私たちの身体は年齢と共に成長します。実は脳も成長をしています。そして、成長させるために情報収集をおこなっています。その役割を担っているのが足だと加藤先生は言います。

「身体を動かすと、いわゆる皮膚感覚を得ることができます。皮膚感覚によって私たちの身体はさまざまな情報を得ることができます。歩けるようになると、歩けば歩くほど脳の髄鞘形成(ずいしょうけいせい)が進み、血液が巡り、その枝ぶりが太くなっていきます。これが脳の成長です」(加藤先生)

歩くことによって脳が成長するとは驚きです。このことを聞いたら今すぐにでもウォーキングに行きたくなったのでは?

ぜひこの機会にウォーキングを習慣化し、脳を鍛え、成長させてくださいね。

プロフィール:加藤俊徳先生

脳内科医、医学博士。加藤プラチナクリニック院長。株式会社「脳の学校」代表。昭和大学客員教授。MRI脳画像診断、発達障害・ADHDの診断・治療の専門家・脳番地トレーニングの提唱者。独自開発した加藤式脳画像診断法(MRI脳相診断)を用いて、小児から超高齢者まで1万人以上を診断。薬だけに頼らない治療の一環としてウォーキングを推奨している。最新著書は『最強のウォーキング脳』(‎時事通信社)。

ウォーキング脳
『最強のウォーキング脳』加藤俊徳・著(‎時事通信社)

 

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Text by Nana Yasuda

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ヨガジャーナルオンライン編集部

ヨガジャーナルオンライン編集部

ストレスフルな現代人に「ヨガ的な解決」を提案するライフスタイル&ニュースメディア。"心地よい"自己や他者、社会とつながることをヨガの本質と捉え、自分らしさを見つけるための心身メンテナンスなどウェルビーイングを実現するための情報を発信。



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