【30代・40代女性、体がだるいの解決策】未病を防ぐ!アーユルヴェーダ的「デトックスファースト」

 【30代・40代女性、体がだるいの解決策】未病を防ぐ!アーユルヴェーダ的「デトックスファースト」
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高野瞳
高野瞳
2022-06-18

便秘や疲れやすい、痩せづらい…など、30代後半から40代女性に多い“なんとなく不調”。スッキリ巡らせて解消するには、アーユルヴェーダ 的「デトックス・ファースト」な体に整えることがカギでした。管理栄養士、アーユルヴェーダ・ヨガ講師の岡清華さんに、アーユルヴェーダ的「デトックス・ファースト」の心得を教えていただきます。

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30代後半から40代女性に多い“なんとなく不調”の解決策とは?

便秘や下痢、疲れやすい、朝スッキリ起きられない、胃がキリキリする、お腹が張って重い、ガスが溜まりやすい……。忙しく働く現代人が見過ごしてしまいがちな“なんとなく不調”。挙げるとキリがありません。ほかにも、月経痛や生理不順などの子宮系の不調も。「いつものことだから…」とケアはつい後回しにしているという方も多いのでは?

「原因は人によってさまざまですが、疲れやすい、疲れが取れない、朝スッキリと起きられない、慢性疲労などは、カウンセリングでも30代後半からよく聞くキーワードです。

私自身、もともと不調だらけだったので、気持ちがよくわかります。不調の辛さもわかるし、改善しづらい環境もわかる。食べちゃいけないと思うのに食べてしまう、寝た方がいいけど眠れない、など。だからこそ、寄り添いながら解決策をお伝えできたらと思っています」(岡さん)

もともと胃腸が弱い岡さんは、パンや小麦を多く食べると便秘がちになる、コーヒーを飲むと月経痛がひどくなる、食べすぎると体が重く、仕事にも集中できなくなるというほど。食生活が日常生活に与える影響は大きいと身を持って実感したといいます。

「消化がうまくできないと、心身の不調に繋がりすベて悪循環になるんです。なんとなく不調をストレスや年齢のせいかな?と済ませてしまう方も多いのですが、『消化力が弱っている』ことが原因であることも。

高価な酵素ドリンクを飲んだり、プロテインを飲んだりとプラスするよりも、朝の水を白湯に変えたり、いつもの食事や飲み物に生姜を少し入れてみたりと、排出することに意識を向けることで体は変わっていきます」(岡さん)

白湯
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「消化力」を高める、アーユルヴェーダ的「デトックス・ファースト」とは?

<アーユルヴェーダとは?>

5000年以上の歴史を持つ、インド・スリランカ発祥の伝統医療。東洋医学の原点と言われています。人間が持つ性格や身体的特徴、体質などをもとに、バランスの取れた状態に整えることが目的です。自分に合った食生活やライフスタイルを知ることで、溜まった毒を排出しやすく、良いものを受け入れられる環境を整えます。まさに、自分自身の取扱説明書。心身ともに豊かな暮らしを送るための、生活の知恵袋です。

「インドの諺に、『汚れた布を染めてもきれいに染まらないけど、真っ白の布を染めるときれいに染まる』というものがあります。体も同じ。体内がクリーンであればあるほど、消化吸収・排泄しやすくなります」(岡さん)

体の毒を出せるツールは、便・尿・汗の3つ。しっかり排泄ができることで、おいしく食べられるし、栄養も吸収できる。そしてそれができてやっとまた排泄ができるのです。その機能をうまく活用して、いつでも出せる体に整えることが、アーユルヴェーダ的「デトックス・ファースト」の考え方です。

そのためには、体の中の消化・吸収・排泄がきちんとできる体のメカニズムを作ることが必要。つい、栄養価の高いものなど取り入れることにフォーカスしがちですが、体の中でそれがきちんと消化吸収できているかが問題です。

「もともと胃腸が弱い方や、体の中が未消化物や毒素で汚れていて腸が詰まっている方が、いくら栄養価の高い食事をとっても、またそれが詰まって体内で腐敗して、逆に毒になる可能性もあります。ですから、プラスする前に体の中をきれいにして吸収できる状態に整えることが優先です」(岡さん)

上手にデトックスしながら、燃費の良い「持続可能な体づくり」を

デトックスが最優先といっても、短期間でいっきに出せばいいというわけではありません。食べすぎたら、ファスティングをして、また食べすぎて……。アクセルと急ブレーキを繰り返すような使い方をしていたら車体がすぐにボロボロになってしまうように、不規則な食生活を続けると、私たちの体もボロボロになり、エネルギー効率の悪い走り方になってしまいます。これでは、消化・吸収・排泄がスムーズに行われず、疲れやすくなるし、集中力がなく時間の効率も悪くなってしまいます。燃費がよく持続可能な体を作るためにも、日々の生活で“ニュートラル”に保つことが大切です。

「童話『うさぎとかめ』に例えると、刺激的な生活を送るうさぎと、毎日コツコツと安定した生活を送るかめ。うさぎには途中止まって休憩が必要になるけれど、ゆっくりでも進んでいるかめに、最終的には負けてしまいます。日々の生活を整えて、コツコツと小さなケアを続けるかめのような暮らしが理想。消化力の高い体を保つことで、健康的な体を維持できることに繋がり、結果的にお金も時間も労力もかからない燃費の良い体に。消化力が安定すると、気持ちのテンションや体力も安定するようになりますよ」(岡さん)

デトックス
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日々の暮らしに取り入れたい!デトックスを促す4つのポイント

自然と“デトックスできる”体に整えるための4つのポイントをご紹介します。

「『食生活・睡眠・ライフスタイル・エネルギーのコントロール』どれかひとつではなく、4つが影響しあって、循環することで成り立ちます。すべてが繋がっているので、取り入れやすいポイントから実践してみましょう」(岡さん)

ポイント1<食生活>

アーユルヴェーダの考えで大切なのは、「自分自身が消化できるものを食べる」こと。消化力を高める食生活を心がけましょう。

「内臓を冷やさないこと、疲れてしまうようなお肉や食物繊維が多すぎるものは控えめに。生もの、添加物が多い加工品、作られて時間が経っているようなパック詰めの惣菜などをできるだけ避けることで、消化の負担を減らす努力を。消化力を高めるために、生姜を取り入れたり、毒素の排出を助けるギーを使ったり、小さなことから始めてみましょう」(岡さん)

ギー
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ポイント2<睡眠>

睡眠の質を高めることは、消化力を高めることにも繋がります。睡眠時間がバラバラで、昼夜逆転の生活をしていては、自立神経が乱れて消化力も低下してしまうとか。まずは、なるべく22時〜2時のシンデレラタイムに少しでも長く睡眠をとることを心がけて。この時間は、細胞が変換される時間。食べたものはもちろん、経験したことや感情も消化・吸収し、「これは脂肪に、これは筋肉に。これは尿や便に」と分別する時間でもあるそうです。

「人間の体も、自然の一部。朝日が昇ったら起きて、日が暮れたら眠る準備をするという自然のリズムに合わせて生活することで、自然と自律神経も整います。寝る時間、起きる時間、食事をする時間をできるだけ規則的にすると、体内時計も正常に機能します」(岡さん)

朝日
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ポイント3<ライフスタイル>

人には、代謝・休息に適した時間があり、その時間や四季に合わせて暮らすことが毒を溜めないための近道です。大切なのは、自分をよく観察すること。疲れていたら休んだり早く寝たり、ベストな状態を保つために調整することが必要です。

「夏の暑い時期は、ホットヨガではなく常温のヨガにしたり、あまり体を動かさないリラックス系を選んだり。逆に、巡りが滞りやすい冬は、しっかり体を動かしてあげたり。体の動かし方も季節に合わせて選びます。食生活にも繋がりますが、旬の食材を食べることは体調を整えるという意味でも理にかなっています。冬は根菜を食べて体を温め、春は苦味のある野菜でデトックスを促します。

また、消化力も1日の中で異なります。朝から徐々に上がり、10時〜14時は一番消化力が高い時間。消化するのにパワーが必要な食事を取るなら、ランチがおすすめです。このように、四季や時間を意識したライフスタイルを選択してみてください」(岡さん)

ヨガ
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ポイント4<エネルギーのコントロール>

心と体は密接に関係しています。自分の欲望や感情をコントロールすることも、消化力を高めて健康に暮らすために重要なポイントです。食生活で消化力が強くなると、感情も消化しやすくなり、そうすると睡眠の質が高まります。感情がきちんと消化できるようになると、ストレスや悩みが軽減できます。

「特にコントロールが難しいのが欲望。短期的な欲ではなく、長期的な快楽に矛先を変えてみるといいと思います。欲望に負けると、生活に支障をきたし、食も睡眠もライフスタイルも乱れてしまいます。短期的に快楽を感じようとしているのかどうか自分と向き合い、チョコレートを食べたいけど、ニキビができるからやめておこうなど、長期的な視点を持つことが大切。落ち着いて俯瞰してみると、長期的な心地よさを選択できるようになるはずです。広い視野で自分を観察する力を養いましょう」

エネルギー
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ファスティングなどでリセットするのもいいけれど、アーユルヴェーダ 的「デトックス・ファースト」で燃費の良い体づくりを心がけましょう。いっきに張り切らず、無理なくできることから改善していきたいですね。

▶ 後編 ライター体験記【溜め込まない!デトックス体質になる】巡りを促す生活習慣の「見直しポイント」とは?

【教えてもらったのは…】

岡清華

岡清華さん
管理栄養士、アーユルヴェーダラージャヨガ講師、<MOTHER>創始者、Mother株式会社代表取締役。1993年生まれ。大学で食物栄養学を学び、管理栄養士の資格を取得。西洋医学を学んだことから、東洋医学に興味が沸き、アーユルヴェーダと出会う。大学卒業後、カウアイ島で本格的なアーユルヴェーダを学び、全米ヨガアライアンスを取得。その後、ヨガクラスや栄養指導、「腸」に特化したフード開発、レシピ監修、イベント企画・運営などを手がける。現在は、アーユルヴェーダの教えをより現代の日本にフィットさせる方法として“Japanease modern Ayurveda”を提唱。ウェルネス空間のプロデュースや商品開発、イベント、セミナー、講座でアーユルヴェーダを発信するなど多方面で活躍中。2022年秋頃、アーユルヴェーダの知識や活用法、伝え方まで学べるオンラインスクールを開催予定。著書に『無敵のデトックス大全―溜まっているオトナを巡らせる!』(ワニブックス)がある。Instagram:@okasaya

岡清華さん
『無敵のデトックス大全―溜まっているオトナを巡らせる!』(ワニブックス)より

 

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高野瞳

高野瞳

編集・ライター。出版社や編集プロダクションを経て、独立。学生時代にオーガニックコスメに出合い、アロマテラピーや漢方、サスティナブルなライフスタイルなどにも関心を持つようになる。現在は、ライフスタイルや美容など幅広い分野の雑誌やwebメディアで執筆中。アロマテラピー検定1級、ルボア認定フィトアドバイザー取得。趣味は、旅行と散歩。



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