ストレスに強い人は必ず持っている?【センスオブコヒーレンス】とは|臨床心理士が解説

 ストレスに強い人は必ず持っている?【センスオブコヒーレンス】とは|臨床心理士が解説
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南 舞
南 舞
2022-05-17

ストレスにうまく対処できる人たちの特徴には様々なものがありますが、その1つとして注目されているのが【センスオブコヒーレンス】です。思い通りにいかないことが多いこのご時世を生き抜くヒントになるかもしれません。

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ストレスの対処に欠かせない力、センスオブコヒーレンスとは?

センスオブコヒーレンスとは、自分の人生に納得できている、腑に落ちているといった感覚のこと。日本語では首尾一貫感覚と呼ばれたりします。センスオブコヒーレンスは、1970年代初頭、医療社会学者のアーロン・アントノフスキー博士によって提唱された概念です。アントノフスキー博士は、ユダヤ人強制収容所への収容経験を持っていたり、難民生活を強いられるなどのストレスフルな状況を生き抜いてきた更年期の女性たちの心身の健康状態について研究していました。そういった過酷な経験をしている人たちなのに、ある一部の女性たちは心身ともに良好な状態を保っていることが分かりました。その人たちに共通する心理状態を【センスオブコヒーレンス】と名付けたのです。

センスオブコヒーレンスを作る3つの要素とは?

精神科医の斉藤環氏によると、センスオブコヒーレンスには3つの感覚によって成り立っていると言われています。

把握可能感

自分の置かれている状況を一貫性のあるものとして理解し、説明や予測が可能であるとみなす感覚のこと。【わかる】と思える状態。

処理可能感

困難な状況に陥っても、それを解決し、先に進める能力が自分には備わっているという感覚のこと。【なんとかなる】と思える状態

有意味感

いま行っていることが自分の人生にとって意味のあることであり、時間や労力など一定の犠牲を払うに値するという感覚。【どんなことにも意味がある】と思える状態。

『そんなの生まれた時から授かっている特別な力でしょ?』『そんな力を持っているのは恵まれた人だけだ』と思う人もいるかもしれません。しかし、実は先天的なものではなく、後天的なものであることが分かっています。この3つの要素をバランスよくしていく方法を知り、日常生活で意識していけば、誰でもセンスオブコヒーレンスを育てていくことができます。

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南 舞

南 舞

公認心理師 / 臨床心理士 / ヨガ講師 中学生の時に心理カウンセラーを志す。大学、大学院でカウンセリングを学び、2018年には国家資格「公認心理師」を取得。現在は学校や企業にてカウンセラーとして活動中。ヨガとの出会いは学生時代。カラダが自由になっていく感覚への心地よさ、周りと比べず自分と向き合っていくヨガの姿勢に、カウンセリングの考え方と近いものを感じヨガの道へ。専門である臨床心理学(心理カウンセリング )・ヨガ・ウェルネスの3つの軸から、ウェルビーイング(幸福感)高めたり、もともと心の中に備わっているリソース(強み・できていること)を引き出していくお手伝いをしていきたいと日々活動中。



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