急な尿意に「我慢できない!」泌尿器科医師に聞く【切迫性尿失禁】原因と対策は

 急な尿意に「我慢できない!」泌尿器科医師に聞く【切迫性尿失禁】原因と対策は
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「尿もれ」と言っても、その原因は2つ。1つは、骨盤底筋の緩みが原因の「腹圧性尿失禁」。2つめは、尿意を我慢できず漏らしてしまう「切迫性尿失禁」です。とくに「切迫性尿失禁」は、症状を繰り返すたびに、心へのダメージが深刻になりやすく……。そのため今回はこの「切迫性尿失禁」のメカニズムと治療法について、泌尿器専門医の鶴信雄医師にお話をうかがいました。

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「切迫性尿失禁」の原因追求の前に……

「切迫性尿失禁」は、急に尿意がくるものの、トイレまで間に合わず漏らしてしまう状態のこと。この原因を突き止める前に、似たような症状が出る、いくつかの病気を排除する必要があるそうです。

「一番疑われるのが、膀胱炎です。膀胱炎の主な症状は、頻尿・残尿感・排尿時痛です。尿を検査することで、膀胱炎かどうかはすぐにわかります」(鶴医師)

あとは、女性には少ない症例ですが、結石や膀胱癌が考えられるそう。上述の病気の疑いが晴れたのち、過活動膀胱が原因の「切迫性尿失禁」だと診断されます。

では「過活動膀胱」とは、一体どんな状態のことを指すのでしょうか?

膀胱が勝手にしぼみだす!?

「人の体は通常、尿を貯めた状態で膀胱が勝手に縮むことはありません。今から排尿するぞ、という脳からの指令が出て、膀胱がしぼみはじめます。ですが『過活動膀胱』の場合、その指令の前に膀胱がしぼんでしまうんです」(鶴医師)

ではなぜ、「過活動膀胱」が起こるのでしょうか?

「残念ながら、その原因は一つではありません。ですが、膀胱が勝手にしぼんでしまうことを抑える薬を使うことで、尿を漏らしてしまうといった症状を抑えることが可能です」(鶴医師)

膀胱は筋肉ですが、運動などで鍛えることはできません。原因は一つではありませんが、薬をきちんと内服することによって症状が改善します。症状が落ち着いてくれば、内服を中止することもできます。

ただ、鶴医師の経験から「骨盤底筋」を鍛えることで、過活動膀胱にもよい影響が出ている人がいるとのこと!

膀胱
膀胱の仕組み
イラスト/Adobe Stock

「尿もれ」する人は、食べ物に気をつけて!

薬や運動以外に、少しでも自分でできる尿もれ対策はないのでしょうか?

「トイレが近い人は、香辛料やハッカなどの刺激物は避けた方がよいでしょう。コーヒーやお茶も、カフェインが入っていると利尿作用で膀胱に短時間で尿が溜まってしまうため、避けて欲しいものです」(鶴医師)

尿もれが改善するまで市販の吸水パッドや吸水ショーツを使うのも、不快感を軽減する一つの方法です。

実は男性にも同じような症状は出ているのですが、女性に比べて尿道が長いので、「切迫性尿失禁」の症状を起こす人は少ないんだとか。

教えてくれたのは……鶴 信雄医師

神戸市生まれ。20年以上にわたり、泌尿器科専門医として大学病院、地域の基幹病院に勤務後、静岡県浜松市にて、プライバシーに配慮した診察を掲げる「鶴 泌尿器科クリニック」を開業する。

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Text by Yuki Ikeda

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ヨガジャーナルオンライン編集部

ヨガジャーナルオンライン編集部

ストレスフルな現代人に「ヨガ的な解決」を提案するライフスタイル&ニュースメディア。"心地よい"自己や他者、社会とつながることをヨガの本質と捉え、自分らしさを見つけるための心身メンテナンスなどウェルビーイングを実現するための情報を発信。



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